北京時間の21日夜、学術誌「ネイチャーコミュニケーションズ」は、復旦大学の泰州健康科学研究院と人類表現型研究院の科学研究チームの研究成果「非侵襲血液検査は通常の検査による診断よりも4年早くがんを発見可能」(「Non-invasive early detection of cancer four years before conventional diagnosis using a blood test」)を発表した。
この最新の研究成果は、検査技術の感度を高めることで、より早く腫瘍マーカーの異常を発見できるようになり、それによってがんの有効な早期スクリーニングを実現できることを証明したものだ。
このチームは若手研究者の陳興棟氏らを筆頭に、同大が中心になって結成した泰州チームの血液サンプルの一部について、長期的で体系的ながんの早期発見のための検査を進めてきた。
研究の結果、直腸がん、食道がん、肝臓がん、肺がん、胃がんというよくみられる5種類の悪性腫瘍について、既存の臨床診断の基準に達する前、さらには患者に自覚症状が出る前に、早期のがんのシグナルである微量のマーカーのDNAメチル化が血液循環の中に存在することがわかった。しかもこれを非侵襲の検査で発見できるという。
復旦大学の卒業生が起業した■遠基因公司(■は昆の右に鳥)が独自に開発した「ctDNAメチル化複数がんスクリーニング技術PanSeer方法」を利用して、陳氏のチームは泰州チームの血液サンプルで通常の臨床診断よりも4年早くがんを発見できる血液中の微量のマーカーのDNAメチル化のシグナルを発見した。
腫瘍を早期発見できれば、患者は早く治療を開始できるようになり、生存率の上昇に効果的だ。しかし早期のがん検査とスクリーニングの検証と研究を行うには、高効率で感度の高い技術が必要であるだけでなく、将来のがん患者からがんと診断されるよりも前に血液サンプルと生物サンプルを採取することがより重要となる。
これはつまり、既存の腫瘍病院の診断カルテのサンプルでは、この新しい早期スクリーニング技術がこれまでの臨床診断基準を超えたかどうかを厳密には証明できないということだ。そのため、より大規模かつ長期的に科学研究活動を展開する人々やチームが研究・探索を支えることが必要になる。
泰州研究院は中国の人々にとって脅威になる重大慢性疾患を主な研究テーマとし、同研究院がある江蘇省泰州市の市民を主な研究対象とし、将来を見据えた健常者による大規模チームの構築を進めている。
泰州チームは同大が中心になり、2007年に結成がスタートした。これまでに地元のコミュニティの住民約20万人が研究に参加している。研究チームは体系的なグループの訪問観察を通じて、グループの人々の各種重大慢性疾患の発生状況を長期的に追跡し、また無症状のグループからさまざまな時間の節目で追跡採取した150万点以上の各種生物サンプルを長期保存している。
今回発表された研究結果には、191のサンプル採取時点の1-4年後にがんと診断された患者の血液サンプルと、現地の病院223ヶ所でがんと診断された患者から採取した血液サンプルが収められ、1対1の割合の原則を厳格に踏まえている。訪問観察から10年以上経ち、がんと診断されていない人のサンプル414点も取り上げられ、対照グループとされた。
研究の結果、結腸がん、直腸がん、食道がん、肝臓がん、肺がん、胃がんというよくみられる5種類のがんに対するこの技術の検査の感度が、がんと診断される前のさまざまな時期に採取した血液サンプルと似ていることがわかった。ここから、がんのシグナルは病状が発展する初期、さらには自覚症状がない診断の数年前にはすでに血液中に存在していることを明らかにしている。
将来を見据えた泰州チームのサンプルを利用して、同大研究チームはDNAメチル化シーケンスが従来の診断方法よりもさらに早くがんを発見できることを厳密な意味で証明した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年7月23日