高速列車があるのに、時速600キロの高速リニア列車を開発する理由は?

人民網日本語版 2020年08月10日14:20

交通運輸部(省)は6日に通達した「交通輸送分野の新インフラ建設推進に関する指導意見」の中で、スマート交通インフラの構築について、時速600キロ級の高速リニアなどの交通設備の開発と試験を展開するとした。将来的な実用化により、人々の移動方法がより多様化し、移動時間・コストもさらに減少する。北京・上海間を例にすると、片道でわずか3時間半ほどだ。科技日報が伝えた。

時速200キロから今日の350キロ、さらに開発中の時速400キロの高速列車プロジェクトに至るまで、中国は高速鉄道分野ですでに先進的な技術設備と運用経験を持っている。中国国家鉄路集団有限公司の最新情報によると、2020年7月末現在の全国高速鉄道営業距離はすでに3万6000キロにのぼっている。

高速鉄道があるのに時速600キロの高速リニア列車を開発するのはなぜだろうか。

中車四方股フン公司(フンはにんべんに分)の呉冬華サブチーフエンジニアは8日取材に対し、「高速リニアの発展により、鉄道交通技術の優位性を確保し、中国の高速鉄道分野におけるリードを維持し、交通強国の建設を後押しすることができる。国際先端技術の一つとしての高速リニアは、世界の鉄道交通技術の新たな高みになる」と述べた。

業界内の研究によると、車輪とレールの接触、パンタグラフによる給電、けん引力などの要因により、さらなる営業速度を求めるならば一般的な列車のテクノロジー・ロードマップは一定の制限を受ける。高速鉄道の安全な営業速度の限界は時速400キロ。一方で、高速リニアシステムは「同じ極は反発しあい、異なる極は引き合う」原理に基づき、かつ非接触、列車がレールを包み込む形状、地上同期けん引といった技術的特徴により、速度向上の難題をよりよく解決でき、安全な最高営業速度は時速600キロほどに達する。

呉氏は「高速リニア交通システムは現在、実現可能で速度が最高の大型地上公共交通機関だ。時速600キロの高速リニアは高速鉄道と航空輸送の間の速度の空白を埋める。航空・高速鉄道・高速リニアという、都市交通速度の段階性がより合理的、効率的で柔軟かつ多様な交通枠組みを形成する」と話した。

公開されている資料によると、ドイツや日本など複数の先進国が高速リニアを開発中だ。うちドイツの高速リニアの最高試験速度は時速550キロで、日本の高速リニアは時速603キロの試験速度を実現している。

中国は2016年7月に時速600キロ高速リニア交通システムの開発を開始した。4年間の科学技術の難関突破により、高速リニアの一連のキーとなるコア技術を確立した。中車四方股フン公司が開発を担当する時速600キロ高速リニアのテスト車両が、上海市の同済大学のリニア試験線でテスト走行に成功した。

呉氏は「現在は時速600キロの高速における安全防護、正確な制御、快適度の向上、メンテナンスサポートなどの技術的難題に重点的に取り組んでいる」と述べた。

呉氏は「時速600キロの高速リニアシステム列車はT字型のレール構造を採用しており、車両にはほぼ脱線のリスクがない。リニア同期モータによるけん引を採用し、列車の位置により部分別に給電する。隣り合う区間で列車は1本のみ運行するため、衝突のリスクは極めて低い」と説明した。

高速リニア課題チームの技術者によると、リニア列車には従来の「車輪」がなく、走行中にレールと接触せず、車輪・レール間の摩擦が発生しない。低騒音で振動も少ない。電磁放射水準については、その他の鉄道交通車両と同等で、各バンドの磁場は基準の上限を大きく下回り、人体に影響はない。列車はさらにスマート走行、スマートサービス、スマート維持管理により、乗客に時間がより正確で、より安全で快適な体験をもたらす。

中車四方股フン公司の高速リニア課題推進計画によると、時速600キロの高速リニアのテスト車両のプロジェクト化に向けたテスト車両は本年末にラインオフを予定している。中国は高速リニアの全面的な技術とプロジェクト化の能力を持つことになる。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年8月10日

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