上海は、中国で最も早く高齢化社会に突入し、高齢化が最も深刻になっている都市だ。2019年末の時点で、上海市の戸籍を持つ60歳以上の高齢者は518万1200人に達して、市の人口全体の35.2%を占めるようになった。80歳以上の高齢者は81万9800人で、市の高齢者人口の15.8%を占めている。中国新聞社が報じた。
近年、上海市は中心エリアにおける地域密着型介護サービスを大々的に推進しており、各エリアで「15分サービス圏」の構築を促進するほか、デイサービス、完全介護、障碍者サポート、医療・介護を組み合わせたサービス、介護顧問などの機能が一体となった「ターミナル型」コミュニティ総合シニアサービスセンターを重点的に建設している。
すでにコミュニティ総合シニアサービスセンターが268ヶ所、短期入所サービスをメインとした高齢者施設が187ヶ所、コミュニティでのデイサービスセンターが720ヶ所設置されており、1ヶ月当たり平均2万7000人が利用している。コミュニティの高齢者を対象とした食事サービス施設は1020ヶ所で、1ヶ月当たり平均10万1000人が利用している。
上海市民政局の蒋蕊副局長は、「地域密着型介護サービスなら、高齢者は慣れ親しんだコミュニティの環境や社会関係から離れることなく、便利な介護サービスを利用できる」とメリットを強調する。
良心的な価格で食事が提供されているサービスセンターを正午ごろ訪れた程文花さん(79)は、「梅雨空の日は気分が優れず、料理をする気になれない。だからここに来て食べている。ここの料理の味はとても口に合う」と話す。
程さんが絶賛する料理を作っているのは、実は高級ホテルのシェフではなく、人工知能を活用して開発された調理ロボットだ。上海市長寧区民政局は現在、「スマート介護」シーンの構築に力を注いでおり、介護サービスに新たな原動力を吹き込んでいる。
虹橋街道(エリア)では、東と西のエリアにそれぞれ調理ロボットが搭載されたキッチンカー2台を投入。コールドチェーン配送や現場での調理を通して、各車1日当たり500‐800人分の食事を提供している。画像は上海市政府新聞弁公室が提供。
上海が第一陣として発表した12のスマート介護応用シーンには、キッチンカーのほか、各区がそれぞれの特徴に合わせて積極的に打ちだした介護サービスが含まれている。例えば、普陀区は、一人暮らしの高齢者の家に無線ドアセンサーや赤外線バイタルセンサー、火災検知器、ガス漏れ検知器などを含む「自宅安全スマートセット」を取り付けている。虹口区は、「クラウド・ネットサービス」を打ち出し、高齢者にスマート化サービスを提供している。奉賢区は、「スマートウォッチ」を活用して、見守りカメラによる見守り、応急救助、位置測定、健康管理などのサービスを提供している。
地域密着型介護サービスと人工知能を活用した「スマート介護」により、上海の介護サービスは一層親しみやすく、思いやりあるものになっている。蒋副局長の言葉を借りるなら、「介護サービスをネットショッピングと同じくらい便利なものに」している。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年8月12日