九州国立博物館の川村氏「三星堆の新発見は世界の考古学の未来を切り開く可能性」

人民網日本語版 2021年04月01日14:24

縦目仮面

独立行政法人国立文化財機構・九州国立博物館・学芸部企画課文化交流展室の川村佳男室長はこのほど、新華社のリモートインタビューに応じ、四川省の三星堆(さんせいたい)遺跡の考古学的新発見について、「現場の考古学研究者のたゆまぬ努力、科学技術を駆使した複合領域にまたがる画期的な方法により得られた考古学的成果」と高く評価。「中国、さらには世界の考古学の未来を切り開く可能性を大いに秘めている」と述べた。新華社が報じた。

川村室長の中国の考古学と青銅器の研究キャリアは、三星堆で出土した文化財と不思議な縁があるという。まだ大学生だった当時、初めて中国を旅行し、四川省博物館で偶然、展示されていたたくさんの三星堆遺跡で出土した青銅器を目にし、「縦目仮面」に出会った。

川村室長は、「高校の歴史の授業で勉強した中国文明関連の青銅器は容器ばかりだった。これほどバラエティーに富む特異な形の仮面や頭像を有する青銅器文化が、成都盆地で盛んだったとは、僕の想像をはるかに超えていた」と振り返り、「縦目仮面が僕を中国の考古学、特に青銅器の研究の道に導いてくれた」と、それを見た時の衝撃を今でも覚えていることを話した。

その後、川村室長が就職した東京国立博物館は、中日国交正常化40周年を記念して、2012年に、 特別展「中国王朝の至宝」を開催。中国各地で出土した夏(紀元前1900年頃-紀元前1600年頃)の時代から、宋(960 - 1279年)の時代にかけての代表的な文化財が展示された。当時、同特別展の担当者だった川村室長は、約20年ぶりに「縦目仮面」と再会。「三星堆遺跡で出土した青銅器は、僕が中国の考古学研究に従事するきっかけとなった。『縦目仮面』と再会し、その展示に従事し、その魅力を多くの日本人に紹介できて、とても喜ばしかった」と語る。

川村室長は現在、九州国立博物館に勤務しながら、青銅器の研究を続けている。今回の三星堆遺跡における「新発見」の話になると、中国の青銅器を研究している川村室長は、なめらかな語り口になり、「多くの研究者も新たな金製品の発見をある程度想定していた。ただ私が今回注目したのはその数の多さだ」と述べた。

そして、「大量の金製品が出土したことで、二つの点で考古学界に大きな課題を提起することになる」との見方を示した。

一つ目は、中国文明の多様性に関する課題だ。三星堆文化も青銅で武器や祭祀具を作っていた点では、夏、殷、周の時代と共通するが、これほど大量の金製品を作っていたのであれば驚きに値するという。同じく中国文明や青銅文明に属するものの、三星堆文化における青銅器の外観は、黄河流域とまったく異なっているという。

二つ目には、三星堆文化の終焉に関する問題だ。今回出土した大量の金製品は、1号坑と2号坑の性質を巡る議論につながるほか、三星堆文化がどのような経過で滅んだのかを知る新たな手がかりも得られる可能性があるという。

今回の考古学的成果について、川村室長は、「世界的に見ても非常に先進的で意欲的なプロジェクトであり、日本の研究者にとっても学ぶべきことが多い」との見方を示した。

(編集KN)

「人民網日本語版」2021年4月1日

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