「国際博物館の日」だった今月18日、長江上流域文明の中心とされる四川省徳陽広漢市の三星堆博物館は、ショッピングサイト・天猫にショップを開設し、約40種類の文化クリエイティブグッズの販売を開始したことを発表した。同博物館によると、6月18日から実施される毎年恒例の販売促進キャンペーンでは、超目玉商品の「本物の土を掘り起こして文化財を探すブラインドボックス」を発売するという。人民網が各社の報道をまとめて報じた。
このブラインドボックスには何が入っているのだろうか?土の中に入っているミニチュアフィギュアは、陶猪や天鶏、青銅神樹、青銅縦目など、今年3月に新たに発見されネット上で話題となった文化財や三星堆遺跡の有名文化財となっている。ブラインドボックスに入っている土の塊も三星堆遺跡の地形をモチーフにした形となっており、土の色も同遺跡の発掘現場の土の色をモチーフにしているという。「没入型考古学体験」ができるように、このブラインドボックスには、スコップやハンマー、ゴーグルなどのツールキットも入っており、セレモニー感満載だ。あるネットユーザーは、「遺跡の土そっくりの土は、文化財フィギュアより価値があるかもしれない。土のためにブラインドボックスを買いたい」といったコメントを寄せている。
「三千年の眠りから覚めるや、世界中を驚かせている」。今年3月20日、重大プロジェクト「考古中国」活動の進展を発表する報告会で、三星堆遺跡で新たに「祭祀坑」6基が発見され、右半分の黄金の仮面や、巨大な青銅の仮面、青銅神樹、象牙などといった重要文化財500点以上が発掘されたことが明らかになった。
今回、三星堆遺跡で発見された文化財がネット上で大きな話題となっただけでなく、考古学関連の文化クリエイティブグッズの人気にも火がついている。3月21日、三星堆遺跡の文化クリエイティブグッズの売上高は5万5000元(1元は約16.95円)を超え、前の週の同期比で3‐4倍に達した。うち、2020年7月に打ち出された「三星堆祈福神官」シリーズのブラインドボックスも超大ヒット商品となった。そのブラインドボックスには、青銅大立人や青銅戴冠縦目仮面など、代表的な文化財5種類が入っている。「神官」には複数のキャラクターがあり、青銅時代の「アイドルグループ」といった趣で、それを集めて古蜀王国の世界を存分に楽しむことができる。
考古学関連のブラインドボックスを打ち出している博物館は、四川三星堆博物館だけではない。例えば、河南博物院は、発掘ブラインドボックス「失われた宝物」を打ち出し、発売と同時に売り切れとなり、その後も供給が需要に追い付かない状態となった。現時点で、同ブラインドボックスは1ヶ月で1万個以上売れており、累計口コミ数が10万件以上になっている。
「失われた宝物」が大ヒット商品となって以降、河南博物院は新商品を何度も発売し、オンラインでの予約販売もスタートと同時に売り切れという状態になっている。さらに、同博物院は、河南衛星テレビが春節(旧正月)の年越し番組で放送した舞踊演目「唐宮夜宴」がネット上で大きな話題となったのを機に、それに登場した唐の宮廷に仕える若い女性をモチーフにしたブラインドボックスを打ち出し、注目を集めた。
「ブラインドボックス経済」は、2020年文化産業のキーワードトップ10にも入った。考古学関連のブラインドボックスが大ヒットしているのを見ると、いろんな方法を通して「文化財」に息を吹き込むことができることが分かる。中国の各博物館は今、所蔵している文化財をさらに広い分野とコラボさせ、一人でも多くの若者にとって身近な存在になるよう、様々な模索を続けている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年5月20日