唐代舞台の検視官ネットドラマが口コミで人気急上昇中!

人民網日本語版 2021年05月21日14:56

人気アイドルが出演しているわけでもなく、しかも低予算のネットドラマ「御賜小■作(■はにんべんに午)」が現在、ダークホース的存在となり、再生回数がすでに3億回以上に達している。先月末、騰訊(テンセント)視頻で配信が始まった同作品は、唐代の長安を舞台に、「■作」(検視官)を目指す少女・楚楚と、優れた捜査能力をもつ貴公子・安郡王が手を取り合って事件を解決していく歴史ドラマ。「いいね!」の数がグングン増え、あるサイトでは、6万人以上のネットユーザーが評価し、8.4ポイントという評価を叩き出している。文匯報が報じた。

よく練られたテンポの良いストーリー

作家・清閑丫頭の同名小説を原作とする同作品は、女優の蘇暁彤(スー・シャオトン)が代々検視官をつとめてきた家の娘・楚楚を演じており、検視官になるという夢を叶えるため、単身長安城へ行き、試験を受ける。そして、その卓越した学識と能力を認めてくれた、俳優の王子奇(ワン・ズーチー)演じる、貴公子の蕭瑾瑜(安郡王)と一緒に、事件を解決していく。あるドラマ評論家は、「同作品の主役のイメージ作りや脇役のキャスティング、細部までよく練られた構想、ストーリーが、人気の主な理由。視聴者は製作者のプロフェッショナルな匠の心を感じることができる」と評価する。

同作品は「事件解決+甘々ラブストーリー」が中心であるものの、サスペンスらしいテンポをうまくコントロールしている。中国では早送りでドラマを見る人も多いが、このドラマについては、多くの視聴者が「早送りで見るのはもったいない」といったコメントを寄せている。主役2人の恋愛描写にしても、単に甘々なラブシーンを見せるというのではなく、互いの世界観と価値観、人生観が一致していることをベースにした描き出し方をしている。世間一般の人々は女性検視官を目指す楚楚を理解できなくても、蕭瑾瑜は彼女を尊重し、その能力を高く評価する。事件を解決する過程で、共に真実や正義を追求する2人から、周囲の人に対する責任感や仕事に対する真摯な態度を感じることができる。このように男女が互いに同じ目線に立っている恋愛は、現代の人々の価値観にもマッチしている。

「3なしドラマ」とのレッテルを張られたドラマの逆襲劇

同作品は、配信がスタートするまでは、「人気役者なし、話題性なし、予算なし」の「3なしドラマ」と見なされていた。主役を務める蘇暁彤と王子奇は、ほぼ無名の若手俳優だったからだ。このように全く目立つことがないドラマだったものの、配信が中盤にまで差し掛かった時点で、再生回数がすでに1億回を突破した。ネットユーザーらは、テンポ良いストーリー展開、納得のいく価値観が反映されたセリフやキャラクターの設定、心を通じ合わせている主役カップル、つじつまの合った恋愛や仕事の描写などに、惹きこまれている。こうして原作作品、役者、業界リソースなど、どれをとっても優位性を誇る点がないこの作品が、「逆襲劇」を演じ、予想を遥かに超えた人気となっている。

あるドラマ評論家は、「同作品は、高いお金を出して人気アイドルを起用するのではなく、作品のクオリティを高めるためにお金を使っており、細かな所まで気が配られている。例えば、イラストや図面を用いて、事件の詳細を説明したり、ドラマの終盤では、漢字の発音を示す伝統的な方法・反切で、陳情書を解説している。また、照明はロウソクの光を使って、ほんのり薄暗い光がとてもいい雰囲気を生み出している」と評価する。

とは言え、同作品も決してパーフェクトという訳ではなく、衣装などの面では改善の余地がある。しかし、テンポが悪く、ストーリーがめちゃくちゃで、ただただ甘々なシーンを見せるだけの「大作」と呼ばれるドラマと比べると、「小さくても価値ある」作品と言えるだろう。同作品が大ヒットしていることは、高い予算をかけて、大ヒット作品を原作とし、大人気役者を起用しているものの、粗い仕上がりで、内容の薄いドラマを作る製作者たちに、視聴者を尊重し、心を込めて製作しなければ、高い評価を得ることはできないことを教えていると言えるだろう。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年5月21日

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