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嫦娥5号着陸エリア、過去に火山の噴火数回発生か

人民網日本語版 2021年12月14日13:21

中国科学院紫金山天文台は13日、同天文台の徐偉彪研究員と惑星化学科学研究チームが南京地質古生物研究所と協力して月のサンプルの研究を行い、サンプルのイルメナイトの含有量が極めて高かったことから、高チタン玄武岩として確定したと発表した。科技日報が伝えた。

これまで国内のその他の研究チームは嫦娥5号の月のサンプルから、低・中チタン玄武岩を発見していた。学者らは今回の研究と結びつけ、嫦娥5号月着陸エリアではかつて複数回にわたり火山が噴火した可能性があると推測した。これらの成果はこのほど中国の総合類学術誌「科学通報」(英語電子版)に掲載された。

論文の連絡著者でもある徐氏は、「今回採取されたサンプルは月の海の玄武岩で、主に月の表側の盆地に分布している。深さ100-400キロメートルのマントルの溶融によって形成されたものだろう。研究チームは高分解能顕微CT、走査型電子顕微鏡、電子プローブなどによって1つのサンプルの詳細な鉱物学及び3次元断層イメージングの研究を行った」と述べた。

その結果、このサンプルが月の火山玄武岩であり、細・中粒ドレライト構造を持つことが分かった。少量のかんらん石斑晶が、輝石、斜長石、イルメナイト、その他の副鉱産物でつくられる基質に分布していた。主な組成鉱産物である輝石の化学成分と変化の流れは、米アポロ計画とソ連のルナ計画が持ち帰った高チタン玄武岩のタイプと高度に一致する。

徐氏によると、このサンプルはイルメナイトの含有量が極めて高かった。その体積は17.8vol%で、存在割合はアポロ計画の月の海の玄武岩の最高値である18vol%に近い。

徐氏は、「高チタン玄武岩は珍しく、現在まで集められているすべての月の隕石からはほぼ見つかっていない。イルメナイトは月の浅層に位置し、一般的には月の地殻とマントルの間のエリアに分布している。玄武岩は月の奥深くのマントルの物質が高温熔融し形成されたマグマによって月の表面に噴出し、冷却し固まってできるものだ。そのため玄武岩のチタンの含有量は低いはずだ。高チタン玄武岩が生じたことについて、イルメナイトの比重が大きいことからマントルの上が重く下が軽いという重力不安定構造が生まれ、イルメナイトが反転し深いマントルに沈み込み、熔融によりマグマと共に噴出され、冷却後に玄武岩の中に閉じ込められたとの学界の仮説がある」と説明した。

徐氏はまた、「このようなことは珍しく、嫦娥5号のサンプル採取エリアで、マントルにこのような反転が生じ、高チタン玄武岩ができた可能性があることが分かる」と述べた。

科学研究者はさらに今回のサンプルから、含有量が0.5%のリン酸塩鉱物を発見した。徐氏は、「リン酸塩鉱物は通常、希土類元素を豊富に含み、またトリウムやウランなどの放射性元素を含む。これらの元素は玄武岩のマグマを生むエネルギーの出処だ」と述べた。

これまでも国内の科学研究チームが、嫦娥5号の月のサンプルから月の海の低・中チタン玄武岩が見つかったと発表していたことは注目に値する。徐氏は、「同一地点で噴出するマグマはいずれもマントルの同一エリアからのものだ。このエリアではこれまですでに低・中チタン玄武岩が見つかっていたが、今回はさらに比較的珍しい希土類元素を豊富に含む月の海の高チタン玄武岩が見つかった。これは嫦娥5号着陸エリアで過去に少なくとも3回、恐らくは何回もの火山の噴火活動が生じたことを意味する。また、マントルの化学成分が不均一であることが分かる。これは月の変化の研究に重要な手がかりを提供している」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2021年12月14日

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