中国国家宇宙局は8日、中国地質調査局中国地質科学院地質研究所北京イオンマイクロプローブ分析センターの研究員・劉敦一氏と地質所の海外上級訪問学者であるオーストラリア・カーティン大学のAlexander・Nemchin教授が率いる国際研究チームが、中国の月探査機「嫦娥5号」が月から持ち帰った玄武岩のサンプルに対して、年代学、元素、同位体分析を行ったところ、月は19億6000万年前にもまだマグマの活動があったことを証明したと明らかにした。これは月の変化の歴史を探るうえで、カギとなる科学的証拠を提供することになる。新華社が伝えた。
関連の研究論文「嫦娥5号が持ち帰った新しい玄武岩の年代と成分」は北京時間の今月8日未明に、学術雑誌「サイエンス」オンライン版に掲載された。これは「嫦娥5号」が持ち帰った月のサンプルを研究対象として発表された初の学術成果で、劉氏とNemchin教授が同論文の共同連絡著者で、車暁超博士が筆頭著者となっている。
「嫦娥5号」は、月の表面の最も新しい年代の玄武岩が存在する位置でサンプルを採取するミッションを実行し、表面のサンプル採取とドリルを用いた深い位置のサンプル採取により、合わせて1731グラムのサンプル採取に成功した。月サンプル専門家委員会の評価・審査、月探査・宇宙プロジェクトセンター(CLEP)の審査、そして国家宇宙局の同意を経て、今年7月12日、第一陣の月のサンプル31点が13の科学研究機関に送られた。
月のマグマの活動がいつ休止したのかは、月の変化の歴史の研究において、これまでずっと解明が必要な重要な問題の一つだった。これまでの月のサンプルの研究成果では、29億年以上前にマグマの活動があったことは確認されていない。科学界は、「嫦娥5号」が持ち帰ったサンプルの研究を通して、さらに新しい年代のマグマの活動が発見され、月のマグマの変化の歴史が解明されることを期待している。
研究チームは、高感度・高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP)の詳細な年代測定データ、堅固な岩石鉱物地球化学データを活用して、月では19億6000万年前にもまだマグマの活動が存在していたことを証明した。これによりこれまで判明していた月の地質寿命が約10億年延びたことになる。
嫦娥5号が持ち帰った月のサンプルの科学研究は現在も進められており、第二陣のサンプルの提供に向けた段取りが進んでいる。そして関連する新たな科学的成果があり次第、発表されることになっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年10月9日