2022年全国两会

目立つ若年層のうつ病発症率

人民網日本語版 2022年03月04日14:42

英医学雑誌「ランセット」はこのほど、「ランセット世界精神医学会委員会うつ病重大報告:うつ病に対して一致団結した行動を取る時が来た」を発表した。11ヶ国の専門家25人がまとめた同報告によると、うつ病は全世界の成人の約5%が罹患していると推計され、特に若年層での発症率が高くなっている。また、高所得国では、うつ病に悩む人の約半数が診断や治療を受けていないほか、低・中所得国ではその比率が80‐90%に達していた。中国青年報が報じた。

 うつ病を発症する若者が多い原因は?

報告の共同作者である中南大学湘雅公共衛生学院の肖水源教授は取材に対して、「現在、世界各国で報告されているうつ病の罹患率を見ると、高い国もあれば、低い国もある。今回の報告で示されている全世界の成人の5%がうつ病を罹患しているというのは、近年、世界で発表されている研究成果を基に推計した結果だ」と説明した。

肖教授によると、中国全土で2013年から2015年まで実施された精神疾患に関する調査では、中国の成人のうつ病の生涯有病率は6.8%、12ヶ月有病率は3.6%と、世界の平均水準を下回っていた。「この有病率に基づいて推計すると、中国では毎年、3000万人以上がうつ病に罹患していることになる」と肖教授。

また肖教授は、「2017年の世界の疾病負担研究のデータバンクを活用して、1993年から2017年までの中国の重度うつ病の発生状況を分析してみると、全体的には重度のうつ病の有病率は年齢が上がるごとに増加するものの、20-24歳に小さなピークを迎える」と指摘。

若者のうつ病有病率がやや高い原因は数多いが、肖教授によると、その中でも際立っている原因が2つあるという。一つは、価値観の違いやバーチャルライフ(オンラインゲームやオンライン交流など)の登場、ライフスタイルの変化といった社会文化の変化の影響だ。もう一つは若者は大きな心理的プレッシャーを抱え、プレッシャーに直面した時に、効果的、かつ上手に対応することができないという点だ。

 うつ病は社会全体で取り組むべき問題

報告は、資源に限りがある状況下であっても、うつ病を予防したり、うつ病患者をケアしたりする方法は多いことを示すエビデンスが数多くあるため、、各国政府や医療従事者、研究者、うつ病患者とその家族が一致団結して、ケアと予防の改善、知識ギャップの解消、認知度向上などに取り組み、共にうつ病に対応するよう呼び掛けている。

その点に関して、肖教授は、「児童や青少年のメンタルトレーニングを重視することが一番大切。家庭や学校、社会は、青少年に対して、一生懸命勉強して、成績を上げたり、よい成果を収めたりすることを励ますのと同時に、青少年の思考能力向上を重視し、特に、批判的思考能力、論理的推論能力、正しく自分を知る能力、合理的に人生の目標を定める能力、人間関係について認識し処理する能力、挫折・ショックを理解し対応する能力などを身に着けることを重視するべきだ」と指摘している。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年3月4日

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