最新のデータによると、米国の今年1月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比7.5%上昇し、1982年2月以来、40年ぶりの高い上昇率になった。価格変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIも同6%上昇で、82年8月以降で最大の上昇率になった。米国のアナリストの見方によると、バイデン政権の対中貿易政策は「戦略性が欠けている」のであり、対中追加関税が米国経済に非常に大きなマイナス影響を与えている。インフレ率が過去最高を更新したことは中国との貿易紛争を終わらせる最新の理由になるという。
対中貿易政策は「一敗地に塗れる」
中国国際経済交流センターの張燕生首席研究員は、「中国の輸出貿易が持つ最大の特徴は輸入国の消費者に低価格・高品質の商品を提供できること、言い換えれば消費者にゆとりを、経済に豊かさをもたらせるということだ。米国自身も認めているように、対中追加関税を課した後、その代償の90%以上を米国国民と米国企業が支払うことになった。よって米国国内では対中追加関税の取り消しを求める声が数多く聞こえるようになった。取り消しを求める強い呼びかけの背後には、傷を負った米国経済と米国国民がいる」と述べた。
米紙「ニューヨーク・タイムズ」の報道によると、調査会社ムーディーズアナリティクスの調査で、米国の対中追加関税により生じた負担の90%以上は、米国の企業と家庭が引き受けていることが分かった。より重要なことは、中国からの輸入を制限したためにより多くのマイナス影響が生じたことで、米国では大量の雇用が失われ、インフレの急速上昇を招いた。米国のCPIと生産者物価指数(PPI)はどちらも大幅に上昇し、CPIは今年1月に82年以来最大の上昇率を更新した。米中ビジネス評議会(USCBC)が昨年発表した報告の分析では、米政府が引き続き中国市場から離れようとするなら、米国は今後5年間で実質GDPに1兆6千億ドル(1ドルは約115.7円)の損失が出て、25年には雇用が32万件減る可能性があるという。
対中追加関税をめぐり、米国は巨額の代償を支払っている。しかし米国が期待したような成果はまだ出ていない。昨年に中国の物品貿易の輸出入規模は再び過去最高を更新し、人民元建てで計算すると、同21.4%増の39兆1千億元(1元は約18.3円)に上り、米ドル建てで計算すると、同30.0%増の6兆500億ドルに達した。このうち中国の対米貿易が急速に増加し、黒字が巨額になった。これは一種のパラドックスのようなもので、米国が中国に圧力をかければかけるほど、中国の対米貿易黒字が大きくなり、米国は中国の商品・サービスから離れられなくなる。
米商務省がまとめた最新のデータによると、21年に米国の対中物品貿易の赤字は3553億ドルに達し、過去と比較すると18年の4182億ドルを下回るだけだった。一連のメディアの報道や分析は、米国の対中貿易政策は「一敗地に塗れた(大敗した)」との見方を示す。
「価値観外交」は大きな禍根を残す
インフレ率上昇とサプライチェーンの絶え間ない断裂に伴って、バイデン政権に関税取り消しを求める米国ビジネス界からの圧力が増大し続けている。日本紙「産経新聞」の報道によれば、政権を担当してからの1年間に、バイデン政権の対中貿易政策はたびたび批判されてきた。米産業界と専門家は対中貿易政策に「戦略性が欠けている」と批判する。米放送局ボイスオブアメリカ(VOA)はサイトでの報道の中で、米経済に数十年ぶり最高のインフレ率が出現する中で、中国から輸出された商品の関税を引き上げれば、インフレは加速し、米経済の回復にマイナスになると指摘した。
張氏は、「米国が対中貿易紛争を発動して期待した目的を達成できないと、バイデン政権は中国の『あら探し』を始め、中米経済貿易協議の第1段合意にあれこれ難癖を付けてきた。米国の国会議員の一部と工商界は対中追加関税の取り消しを強く求めるが、米国の政治屋と極端な反中国勢力は、米国が交渉によってより多くのメリットを獲得するべきだといまだに考えている。結局のところ、バイデン政権の一連の選択はいわゆる『価値観外交』に基づくものだ。このような『価値観外交』に導かれて、中国新疆維吾爾(ウイグル)自治区の綿花でも、トマトでも、太陽光発電でも、みんな『価値観』の色彩を帯びることになる。よって、米政府はたとえ貿易戦争で自国が損をするとはっきりわかっていても、譲歩しようとしないのだ。つまり、『価値観外交』、『価値観貿易』、『価値観サプライチェーン』などが今は優位に立っているということだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年3月4日