日本のスキー界の関係者たちは最近、「中国は、北京冬季五輪開催を通して、『スキーブーム』を巻き起こしたが、日本の長野オリンピック後の教訓をくみ取り、『熱しやすく、冷めやすい』という状況や流行を追ってスキーをする人が増えるという状況は避け、理性的で持続可能な発展を追い求めたほうがいい」と指摘した。新華社が報じた。
統計によると、長野冬季オリンピックが開催された1998年にピークの1800万人に達した日本のスキー人口は、2020年には430万人まで激減した。そして、スキー人口の激減により、日本各地のスキー場は経営難に陥っている。
長野県野沢温泉スキー場の片桐幹雄社長は、「日本の『スキーブーム』は熱しやすく、冷めやすかった。日本のこの面での発展は不健全だ。ハチの巣をつついたようなブームになるのではなく、健全なスタイルで推進されることを願っている。これは日本が経験した間違い、失敗であり、反省に値する」との見方を示す。
選手とコーチとして冬季五輪8大会に参加してきた片桐社長は、「スキースクールやスキー教室を発展させるというのが、スキーを発展させる重要なチャンネルだ」としながらも、「流行を追ってスキーをする人を増やすのではなく、スキーが本当に好きな人がスキー場に来るように取り組まなければならない」と何度も指摘してきた。
そして、「日本では、好きかどうかに関わらず、生徒全員がスキーに行くよう計画している学校もある。また、会社が企画してスキーをしに行くといった会社もある。しかし私個人はより多くの選択の自由が必要だと感じている。スキーブームが去ってしまえば、スキーに関心を持つ人が一気に減るといったような現象が生じることを回避し、本当にスキーが好きな人がスキーできるように取り組まなければならない」との見方を示す。
野沢温泉スキー場の元社長で、長野県スキー連盟の顧問を務める河野博明氏は、過去30年、何度も中国を訪問し、新型コロナウイルス感染症拡大発生前には、河北省の張家口を訪れて、冬季五会場利用をめぐる交流も行った。そんな河野氏は、「中国には現在、スキー場が約800ヶ所あり、中国の未来を背負う子供たちを育成するスキースクールの運営が大きなカギとなっている。中国の子供たちがスキーをすることができるように、スキースクールをどのように経営するか、その体制の構築が非常に重要だ」との見方を示す。
冬季五輪2大会で金メダルを獲得し、現在は長野市市長である荻原健司氏は取材に対して、「スキー場が健全な発展を実現するためには、クロスカントリーやスノートレッキング、ソリなどを含む、多様なサービスを提供しなければならない」と指摘した。
日本のスキー人口が激減した主な原因の一つは少子高齢化で、これは中国社会が直面している問題でもある。長野県白馬村には、1998年の冬季五輪会場となった施設が複数ある。その全ての施設を経営している白馬観光開発株式会社の荻野正史社長は、「日本の小学生の数は現在、約630万人で、年々減少しており、スキーをする子供もどんどん減っている。そのような状態が続けば、20、30年後はスキー客がいなくなり、スキー場も経営できなくなる」と危機感を示す。
長期的な発展を実現するために、荻野社長が管理を担当している白馬村の各スキー場は今年、4歳以上の子供なら誰でも申し込むことができる子供向けのスキー教室を開設した。その内容を見ると、スキー場のスキー教室に預けた子供がスキーのレッスンを受けている間、親はスキーをすることができる。そして、子供が滑れるようになると、親は一緒にスキーを楽しむ。荻野社長によると、「このようなスタイルは好評で、募集し始めてすぐに会員が1万人を超えた」という。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年3月22日