現代の人々の生活に溶け込む1千年の歴史を誇る漆器 (2)

人民網日本語版 2022年04月21日10:12

「平遥推光漆器」の作品に絵付けをする国家級無形文化遺産の伝承人・薛生金さん。

薛さんのアトリエにある机には全て、大豆の油と地の粉の入った小さな瓶が置かれている。「地つけの際、漆を一塗りするたびに、数十時間おいて完全に乾燥させなければならない。その後、漆を塗るたびに、水を付けたやすりで何度も磨かなければならない。最後に、器物の表面に大豆の油を塗り、手で地の粉を少しかけて、手で触ってツルツルになるまで磨き上げる。それを何度も何度も繰り返して作り上げるのが平遥推光漆器だ」と薛さん。

薛さんは近年、2つのことにこだわっている。1つは、材質へのこだわりだ。市場が拡大するにつれて、合成漆を使う人が増えているが、薛さんは天然漆だけを使い続けている。薛さんは、「漆器というのは元々、材質の美しさに非常にこだわる美術品だ」と、その理由を説明する。次に、伝統文化からデザインのインスピレーションを得ることにこだわっている。アトリエの机には、書籍が山積みなっており、「優れた漆器を作るためには、古代の衣装や基本的な陶磁器の形の知識が必要。四大名著(紅楼夢、水滸伝、三国志演義、西遊記)を読み、戯曲や演義などについても知っておかなければならない。これは中国の伝統で、伝承し続けなければならないから」と話す。

また薛さんには、「中国推光漆器博物館名誉館長」という肩書もある。中国山西省の平遥古城東大街にある中国推光漆器博物館は、「平遥推光漆器文化産業クリエイティブパーク」でもある。その中を歩くと、各種漆器美術品がたくさん並んでおり、そこで実際に作品を制作している工芸・美術職人もたくさんいる。

アンティークなオーラを放つ上品な赤い漆塗りの食器、高級感ある文房四宝(筆墨硯紙)やしおり、かわいいアクセサリーなど、「平遥推光漆器」は今、現代の人々の生活の中に少しずつ溶け込むようになっている。それら文化クリエイティブグッズは、クリエイティブパークの工芸・美術職人の手作り美術品だ。唐都推光漆器有限公司の責任者・陰建平さんは、「伝統工芸と時代の要素を結びつけ、研究開発を強化し、無形文化遺産の用途を拡大させている。また、市場の優秀な文化クリエイティブ企業と提携して、文化クリエイティブグッズのさらなる可能性を模索している」と説明する。

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