検体採取のデモを行う研究開発者
電動ハンドで綿棒をつかみ、口の中に入れ、左に3回、右に3回まわして分泌物を採取する……30秒ほどで1回の自動PCR検体採取が完了する。PCR検体採取ロボットがこのほど、上海の街に登場し、人の代わりにPCR検体採取の全過程を行っている。
■「視覚+力制御」で正確性と安全性を確保
PCR検体採取ロボットは上海人工知能研究院で誕生した。同研究院、奇瑞持株集団、節卡ロボットが共同開発した「SAIRI」スマートPCR検体採取車に搭載されている。
「SAIRI」スマートPCR検体採取車
上海人工知能研究院スマート医療センターの閆維新首席科学者によると、このロボットには視覚・力制御センサーが搭載されている。視覚センサーにより、顔の位置や口の開き方が検体採取の要求を満たすかを判断する。問題がなければ、ロボットアームが綿棒を口に入れ、さらに内視鏡システムにより口腔内の環境を調べ、扁桃体を認識し綿棒で付近の分泌物を採取する。力制御センサーはリアルタイムで力制御データをフィードバックし、ロボットアームの力を安全な範囲内に制御する。
■記者が体験 標準化された動きでやさしく採取
記者はこのほど、ロボット検体採取者を体験した。「口を開けてください」という音声の指示に従いマスクを取り、口を開くと、ロボットの右腕のハンドが綿棒をつかみ、ゆっくりと口の中に伸ばした。喉の奥に触れると、ロボットアームが左に3回、右に3回まわり、分泌物を採取した。標準化された動きで、不快感はなかった。
検体採取が終わると、ロボットは消毒液を噴霧して消毒を行う。車内にはさらに紫外線ランプがあり、存在する可能性のあるウイルスの消毒に用いられる。
上海では現在すでに80台近くの検体採取車が使用されている。将来的に広く推進・拡大し、人々の検体採取時の交差感染リスクをさらに引き下げ、医療従事者のためにも防護の壁を築く。車内は運転手が1人だけで、検体採取を完全にロボットに任せる。車内に陽圧設備が設置してあるため、運転手が防護服を着用しなくても感染する恐れはない。車内にはさらにPCR検査設備があり、「採取と検査の一体化」が実現される。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年5月24日