尉且砂漠道路
新疆維吾爾(ウイグル)自治区の尉犁(ロプノール)県と且末(チャルチャン)県を結ぶ尉且砂漠道路が6月30日、正式に開通した。この2017年10月着工の砂漠道路の工期は5年近くで、全長は334キロメートル。塔里木(タリム)砂漠道路と阿和道路に続く3本目のタクラマカン砂漠横断道路だ。これにより、中国は「死の海」と呼ばれるタクラマカン砂漠で1200キロメートル以上の砂漠道路を建設している。
3本の砂漠道路が面積が世界2位の流動する砂漠を横断し、「死の海」でどのようにして道路が建設されたのだろうか。
砂を堅固な路床に
これまでの2本の砂漠道路の成功経験を活かして、工事作業員は砂漠区間で乾式プレス成形を採用。つまり砂漠の風成砂を直接プレスすることで砂の基礎を固める。その上にジオテキスタイルを敷き、さらに順番にさまざまな砂利を重ねる。同時に一般的な道路幅の倍の広さを持つ斜面により、路床にさらに大きな側圧をかける。こうしてバラバラの砂が堅固な路床になるのだ。
道路は砂漠東部の密集する高い砂丘を通過する。合計で32ヶ所の高い砂丘を切り崩し、砂丘間の28ヶ所の窪地を埋めた。うち最大の砂丘の処理には半年近くかかった。
「タクラマカン」は「入ったら出られない場所」を意味する。この砂漠は1年のうち3分の1の日は砂嵐が発生しており、さらに長時間の強い日射により、地表温度が70℃に達することもあるほどだ。
作業員を保護するため、プロジェクト部は作業時間を調整し、砂漠の最も暑い時間帯を避け、朝晩の気温が低い時間帯を選び施工した。それでも砂漠の高温により、作業員は毎日20リットル近くの水を飲まなければならなかった。
砂嵐により砂丘が移動するが、位置の変化により目印がなくなり道に迷いやすい。作業員の安全を守るため、現場はすべての作業員に北斗測位システムの端末を配備した。
尉且砂漠道路
流動する砂丘を「静か」に
タクラマカン砂漠は面積が世界2位の砂漠で、風の作用により砂丘が「流動」する。これは作ったばかりの路面に何の措置も講じなければ、1回の強風で埋もれる可能性を意味する。
プロジェクトチーフエンジニアの井文雲氏は、「これまでの建設経験と結びつけ、草方格+防砂壁という方法を採用し、立体的かつ多層的な砂防止体制を構築した」と述べた。
湿地に生えるアシは、乾燥した砂漠でも大きな役割を発揮し、「流砂固定の優れもの」になった。アシの茎を乾かし砂丘に運び、1メートルの正方形を作り道路両側に置く。このアシを織って作る、流砂固定に使われる正方形の格子は草方格と呼ばれる。その敷設は道路建設と同時に行われる。片側の幅は最大で110メートル、最小でも60メートル。草方格が砂丘に敷かれていると、砂が吹き飛びにくくなる。
草方格の外側は10メートル間隔の2本の防砂壁だ。砂嵐が襲来すると、最も外側の2本の防砂壁が風速を落とし、強風に伴う砂の大半も壁の外に阻まれる。そして数十メートルの草方格があることで、路面に損害が及びにくい。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年7月4日