中国で希少動物の確認が相次いでいる理由は?

人民網日本語版 2022年07月01日10:25

昨年、雲南省西双版納(シーサンパンナ)・傣(タイ)族自治州の生息地を離れて北上し、その後南下して生息地へと戻ったアジアゾウは今、熱帯雨林でのんびりと暮らしている。また、黒竜江省のアムールトラ・ヒョウ国家公園では、中国で捕獲からの野生復帰に初めて成功したアムールトラ「完達山1号」が元気に暮らしており、少しずつ現地の状況に適応している。青海省可可西里(フフシル)のチベット高原では、毎年5月頃になると、チルーが出産のために卓乃湖へと年に一度の大移動を繰り広げる。人民日報が報じた。

美しい自然と生態系が戻り、希少動物も増加

世界でも生物多様性が豊富な国の一つである中国には、7300種類以上の脊椎動物が生息しているほか、すでに名前がつけられている昆虫は13万種類に達している。中国は近年、生息地保全や保護増殖といった措置を通して、野生動物の保護を展開し、大きな成果を収めている。熱帯雨林からチベット高原に至るまで、そして東中国海の海辺から西南エリアの奥地に至るまで、確認・観察される希少動物がどんどん増えており、自然の美しさと生態の美しさが際立つようになっている。

まず、個体数が増加の一途をたどっている。

長江では「微笑みの天使」と呼ばれるスナメリが増えている。今年5月26日、あるボランティアが贛江の江西南昌区間の揚子洲水域で、スナメリが出産する様子の撮影に成功した。江西野生動物保護協会自然教育・ボランティア委員会の余会功主任は、「以前、ここにはスナメリが3頭しか生息していなかったが、今は約20頭になっている」と説明する。最近のモニタリング調査では、鄱陽湖のスナメリの個体数は700頭以上にまで回復していることが確認されている。

また、野生動物の分布範囲もますます拡大している。

江西省鷹潭市では、約10年前にコウライアイサが初めて瀘渓河に姿を現した。その後、コウライアイサの生息地の範囲は拡大の一途をたどっている。森林保護に携わる肖冬様さんは、「一番多い時で140羽以上の撮影に成功した。世界の個体数の約10%を占める数だ。コウライアイサは環境が良い場所でないと生息できない。美しい自然を保護しなければ、この『珍客』をもてなすことはできない」と説明する。

そして、新種や中国で新たに確認された生物種も増加している。

中国科学院生物多様性委員会が5月22日に発表した「中国生物種リスト」2022年版には、13万8293種の生物種及び種以下の分類単位が収録され、その数がさらに増えた。同委員会の馬克平副主任は、「中国の生物種リストにリスト入りする生物種は急増しており、15年でほぼ3倍になった」と説明する。昨年、中国で新たに発表された脊椎動物は95種類だった。うち、新種は80種類、中国で新たに確認された種は15種類だった。新種は30省・区・市に分布しており、雲南省では32種類が確認された。

中国の近年の生物多様性保全活動は多くの成果を収めている。例えば、野生のジャイアントパンダの個体数は1970-80年代の1114頭から1864頭に増えた。アジアゾウの野外個体数は1985年の約180頭から約300頭に増えた。一時は絶滅したと見られていたトキは、1981年に7羽発見された。そして、今では野外個体数が6000羽以上にまで回復した。チルーの野外個体数は1990年代の7万匹未満から、30万匹以上にまで回復した。

自然保護地体系により国家重点保護野生動物個体群の85%を保護

中国は近年、国家公園を主体とした自然保護地体系の構築に力を注ぎ、「三江源国家公園」や「ジャイアントパンダ国家公園」などを設置してきた。そして、設置した各種自然保護地の数は約1万ヶ所に達し、各種自然保護地の面積が陸域国土面積に占める割合は18%に達している。こうした体系によって植物の種類・陸域生態系の90%を効果的に保全し、国家重点保護野生動物個体群の85%を保護している。

中国国家林草局野生動植物保護司(局)の関係責任者によると、中国は現時点で、野生動物救護センターや野生動物ジーンバンクといった救護・繁殖機関を設置し、希少動物や絶滅危惧種の動物約400種類を繁殖させている。そして、パンダやトキ、コビトジャコウジカ、フランソワルトンといった動物の野生復帰が成功し、野生環境では一度姿を消したモウコノウマ、シフゾウの野生個体群が再び見られるようになった。

人間が生存し、発展し続けるためには、健全な生態系が欠かせない。野生動物は生態系において不可欠で重要な役割を果たしているだけでなく、非常に貴重な文化的価値と社会的価値を有している。例えば、干支になっている動物や中国の国宝であるパンダには、独特な文化的意味合いや象徴的な意味がある。医学や自然科学といった分野を見ても、野生動物は他が取って代わることのできない役割を果たしている。テクノロジーが進歩するにつれて、野生動物の潜在的価値はさらに際立つようになるだろう。野生動物を保護することは、まさに人間を保護することにほかならない。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年7月1日 

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