中国航天科技集団第八研究院が4日明らかにしたところによると、同研究院第805研究所が独自に研究・製造した、「長征2号丁遥64」キャリアロケットのペイロードベイに搭載された軌道離脱システムが6月26日、軌道離脱セイルを順調に展開した。これは現在、中国で面積が最大の軌道離脱セイルで、キャリアロケットの室内に軌道離脱セイルが搭載されるのは世界初でもあり、スペースデブリの増加を減らすのが狙いだ。
軌道離脱セイルは衛星または宇宙船に搭載され、宇宙で独自に展開する薄膜構造だ。衛星が打ち上げられ軌道に乗る時は収納されており、衛星の寿命が尽きるとロックが解除され薄膜セイルが展開され、「凧」のようになる。低軌道環境の薄い大気が形成する空気抵抗を利用し、衛星の速度を徐々に落とし、元の軌道からゆっくり離脱させる。
高度700キロメートルの15キログラム級の衛星を例にすると、軌道離脱措置がなければ、衛星は寿命が尽きた後も軌道を120年以上も占拠してしまう。面積2平方メートルに展開する軌道離脱セイルを搭載すれば、この軌道での滞在期間を10年以内に短縮できる。
ペイロードベイの軌道離脱セイルの地上試験。画像提供は中国航天科技集団第八研究院
今回の任務の軌道離脱セイルの材料は極めて薄く、厚さが髪の毛の直径の10分の1未満だ。セイルは非常にコンパクトに収納できるが、完全に展開すると面積が25平方メートルにもなる。重さ約300キログラムの「長征2号丁」キャリアロケットのペイロードベイを先導し、2年以内に大気圏再突入の目標を達成し、貴重な宇宙軌道資源を確保する。
特筆すべきは、軌道離脱セイルによる軌道離脱には燃料を消費する必要がなく、宇宙船が故障しコントロールを喪失した場合でも、少量の電流だけでセイルを展開できることで、コントロールを失った宇宙機の軌道離脱の需要を効果的に解決できることだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年7月5日