中国最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーの寧徳時代新エネルギー科技股份有限公司はこのほど、資金73億4千万ユーロ(約1兆円)を投入してハンガリーに工場を建設することを明らかにした。完成すれば欧州最大のバッテリー工場になるという。ハンガリー側は、「これは我が国の歴史の中で獲得された最も大規模な投資だ」と述べた。「環球時報」が伝えた。
ハンガリーはなぜ寧徳時代の投資を誘致することができたのか。それは、ハンガリーが地理的に欧州の中心エリアに位置し、良好な産業配置の基礎を備えており、ここに進出した中国企業が欧州の顧客により近いところにいて、顧客のニーズに速やかに対応できるからだ。さらに重要な点は、ハンガリーが中国企業に政策面とビジネス環境面で予測可能性を提供したことだ。ハンガリーは欧州で真っ先に中国との間で「一帯一路」(the Belt and Road)協力了解覚書に調印した国であり、中国企業の投資に多くの優遇政策を打ち出してきた。そのため過去2年間にはハンガリーで投資する中国企業の数が増え続け、投資の規模は高い水準を維持した。2021年の中国-ハンガリー2国間貿易額は前年比34.5%増加した。少し前には、上海蔚来汽車がハンガリーに投資して同社初の海外工場を建設することを発表し、6月には聯想集団(レノボ)がハンガリーに投資して建設した欧州初の同社の生産拠点が運営をスタートした。
一部の海外メディアは「酸っぱいブドウ」のように巨額の投資を獲得したハンガリーが「長らく中国を支持してきた」のを揶揄するが、そんな暇があるなら、寧徳時代の北米工場計画が停止になった理由をじっくり考えてみた方がいい。米国は長年にわたり外資を最も多く誘致する国だったが、ここ数年は、何でも政治問題化し安全保障化するムードに毒されて、多くの極めて悪辣な先例を生み出し、ますます多くの元々優れた投資の土壌だったところを地雷原に変えている。たとえば海外のハイテク企業に技術を供与するよう強要し、資本に対して「技術的没収」すら行った。企業が投資をする時に「いつか没収されませんように」、「自分の資金は無駄になるのではないか」などと心配するとしたら、安心して発展できるだろうか。米国メディアの報道によれば、寧徳時代は米国での工場建設計画を長年温め、米国の一部の場所も視察したが、最終的にメキシコにバッテリー工場を建設する代替プランを選択する可能性が高いという。寧徳時代の抱く懸念は多くの企業が抱く懸念でもあるだろう。
駐中国ハンガリー大使は、「ハンガリーは中国の大手企業が欧州大陸に進出する時の『主要な切り込みポイント』であることを誇りに思う。そして健全で安定した中国-欧州関係と中国-欧州経済貿易関係は、中欧双方にプラスであり、世界にとってもプラスだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年8月15日