中国の科学研究者は深地層実験により、宇宙の現在まで確認されている最古の恒星のカルシウム元素の起源の謎を解明した。これに関連する論文はこのほど国際的な学術誌「ネイチャー」に掲載された。中央テレビニュースが伝えた。
豪州の天文学者は2014年に望遠鏡を使い、現在まで確認されている宇宙最古の赤色巨星を観測した。これはビッグバンから約1億年後に誕生したもので、第一世代恒星の超新星爆発によって形成された星雲からなっている。当時はリチウム、炭素、マグネシウム、カルシウム元素が観測されたが、うちカルシウム元素の起源が謎のままだった。
天体理論によると、そのカルシウム元素はHot-CNOサイクルで生成される可能性があるが、実験データの裏付けが得られていない。そのため現在の恒星変化モデルでは天文観測データを説明できなかった。論文の第一連絡著者で、北京師範大学教授の何建軍氏によると、第一世代恒星の環境によって発生した熱核反応の可能性は極めて低い。地上実験室では宇宙線バックグラウンドの干渉を受けるため、これらの反応の直接的な測量が不可能だった。中国錦屏地下実験室は現在、世界で最も深い地下実験室であり、垂直方向の厚さ2400メートルの岩石に覆われており、宇宙線の線量を地上の1000万分の1から1億分の1に下げることが可能だ。
研究チームは錦屏地下実験室の深地層天体核物理学装置を利用し、フッ素放射線捕捉陽子の直接測量実験を行った。その結果、最終的にカルシウムがCNOサイクルによるものとの仮説を検証し、古い恒星のカルシウム元素の起源をめぐる問題の説明に成功し、第一世代恒星の弱超新星爆発の変化モデルを力強くサポートするとともに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の今後の観測に信頼できるデータを提供することになる。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年10月31日