天津大学が3日に明らかにしたところによると、同大の生命科学学院の林志教授のチームが超高強度人工生糸製造の新方法を打ち出し、初めて安価な普通の生糸を超高強度の人工生糸に変えた。これに関連する成果は国際的な材料学の学術誌「Matter」に掲載された。科技日報が伝えた。
天然のクモの糸は、自然界で知られている強度が最も高い天然タンパク繊維で、その強度は同質量の鋼の5-10倍。しかし、天然のクモから大量の糸を取るのが極めて困難であることから、現在市場にはクモの糸関連の実際の製品がめったに出回っていない。人類の生糸利用の歴史は長いが、その強度と強靭性はクモの糸に遠く及ばない。学術界は生糸を出発点に、より強靭な糸を作ろうと取り組んできたが、作られた人工生糸は性能が優れていないものが大半だった。
林氏のチームはドデシル硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムを使用し、生糸表面の粘着層を溶解させた。同方法による生糸のゴム質除去率は約28%で、そして得られる再生シルクタンパクは分子量が多く、再生シルクタンパクの機械性能がある程度保証された。研究者は人工紡糸の際に濃縮した再生シルクタンパクを微小管から歯磨き粉のように押し出した。この押し出されたタンパク質は亜鉛イオンと鉄イオンが含まれる溶液の中で急速に凝固し、細長い繊維を形成した。さらに適切な処理を施すことで、直径がクモの糸に近いが強度と硬度がそれを遥かに上回る天然の繊維が得られた。この人工生糸の引張強度はクモの糸の平均強度を70%以上上回り、現在まで知られている自然界の糸を遥かに上回り、将来性の高い「超高強度人工生糸」になった。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年11月4日