2022年にグローバル経済は多くの試練に直面し、経済成長率が大幅に低下し、不確実性がさらに激化した。今後のグローバル経済の発展はどうなるだろうか。人民網財経チャンネルはこのほど、こうした問題について、国際金融フォーラム(IFF)の副理事長を務める国際通貨基金(IMF)前事務局長の林建海氏を単独取材した。
【人民網】IMFの最近の予測では、2021年のグローバル経済成長率は6%で、今年は3.2%に下がり、来年は2.7%になるという。IMFはなぜこの予測値を引き下げるのか。
【林氏】グローバル経済成長率を引き下げる要因には、新型コロナウイルス感染症の持続的なマイナス影響、グローバルサプライチェーンへの損害、エネルギー価格と食品価格の高騰、主要先進経済国の中央銀行が実施する金融引き締め政策、そしてロシア・ウクライナ紛争がもたらした打撃が含まれる。IMFはグローバル経済の最も厳しい時期はまだ訪れておらず、来年はさらに困難な状況になるだろうと見ている。
【人民網】今後しばらくの間、グローバル経済はどのような重大な試練に向き合うことになるか。
【林氏】まとめると、次の5つの面がある。
まず、先進経済国にとっては、インフレ率の抑制と引き下げが目下の急務だ。IMFは、主要先進経済国の中央銀行は金融引き締め政策を持続しなければならず、来年になって明らかな成果が上がることを期待していると考える。
第二に、新興市場と発展途上国にとっては、低成長、高物価、高債務への対応が今直面する3つの切迫した問題であり、特に債務の面では、今年は米ドル金利の大幅な引き上げと上昇によって、こうした国々の債務がさらに深刻化している。債務の多くは外貨建てで、特に米ドル建てが多く、こうした国々はドル金利上昇と米ドルの値上がりという二重のリスクに直面している。
第三に、中長期的に見て、多くのエコノミーは今もなお経済成長の長期的な停滞、労働生産性の伸びの鈍化、労働力人口の減少、気候変動対応がもたらす圧力に直面している。こうした試練に直面して、経済の革新と構造的改革を加速させなければならない。
第四に、世界的に見ると、「脱グローバル化」の声があちらこちらから聞こえ、グローバル経済の発展・協力に極めて大きな困難と不確実性をもたらしている。
第五に、気候変動に対応し、グリーンモデル転換を促進することは、挑戦でありチャンスでもある。地球の平均気温の(産業革命前を基準とした)上昇幅を2℃以内に抑える目標を達成するには、各国が温室効果ガスの排出量を大幅に削減しなければならない。
【人民網】こうしたグローバルな大きな環境に対して、中国は何をするべきか。
【林氏】不確実性が激化し続けるグローバル環境の中で、中国経済の発展には「質」と「量」が必要であり、どちらも欠けてはいけない。これは持続可能な質の高い発展を実現し、中国が徐々に飛躍して高所得国の仲間入りを果たすためのカギだ。世界と中国の経済発展の経験と教訓に基づいて、次に5つの面を重視するとよい。
1つ目は安定したマクロ経済環境を維持することだ。これは質の高い発展を持続させるための前提だ。
2つ目は発展の原動力を転換し、労働生産性を向上させることで、カギは技術学習型の成長から技術のリードに全面的に依拠する形の成長に転換することで、これが質の高い発展を持続させるための中核だ。
3つ目は金融システムを整備し続け、サービス業をさらに促進し発展させる必要がある。これは質の高い発展の懸け橋だ。
4つ目は高水準の対外開放と交流を堅持することだ。これには貿易、金融、投資、文化・教育交流などの面が含まれ、国際問題をめぐる活動や方針決定に主体的・積極的に参加することも含まれる。これは質の高い発展を持続させるための必要条件だ。
5つ目はあまねく恩恵のある、包摂的で、グリーンな成長を持続的に推進し、国民をより幸福にすることだ。これは質の高い発展の最終的な目的だ。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年11月23日