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中国が推進する「アーバン・リニューアル」とは?

人民網日本語版 2023年01月18日16:42
中国が推進する「アーバン・リニューアル」とは?
寧夏回族自治区銀川市は、アーバン・リニューアルにおいて歴史、文化の発掘、伝承を重視している。写真は同市金鳳区新昌路特色街区にある「二十四節気」をテーマにしたミューラルアート(袁宏彦/人民図片)。

「フリースタイルスキーやスノーボードの試合を生中継で見ていた時、選手の背後には、北京冬季五輪のマークが入った冷却塔があり、遠くには延々と連なる西山が見えて、とても美しかった」と話すのは北京市民の劉さんで、彼女は北京のビッグエア首鋼の前で、夫と共に美しい写真が撮れるアングルを探していた。人民日報が報じた。

1919年に建設された首鋼園は、鉄鋼メーカー・首鋼集団の生産中心エリアだった。2008年の五輪開催地に北京が選ばれたあと、グリーンな北京、グリーンな五輪という厳かな約束を守るべく、同社は歴史に前例のない鉄鋼生産の大移転を実施した。

現在、首鋼園に足を踏み入れると、鋼鉄工業の醸し出す雰囲気と冬季五輪の要素が見事にコラボレーションしている。自動運転や書店・展示、カフェ・グルメ、音楽・エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)、多種多様なフォーラムなどがそこにあり、かつての「ラストベルト」が素敵な「ライフランウェイ」へと華麗な変身を遂げ、輝きと活力を放っている。

また、ここ数年の重慶市山城巷の再開発について、同地で30年以上にわたり火鍋レストランを営んできたオーナーの印波さんは、「以前は歩道が狭い上に混雑して、テーブルを2-3脚しか置けなかったし、下水道などの施設も整っていなかった。でも、今は環境がかなり改善され、観光客もひっきりなしにやって来る」と満足気に語る。山城巷は、山の斜面に沿って建設されており、100年以上の歴史がある。環境の美化や施設のリニューアルを経て、現在は文化のムードを漂わせる近代的な山城巷に生まれ変わって観光客らを迎えている。

北京市の首鋼園の工業遺産再利用や重慶市の山城巷の「プチリノベーション」などは、中国が近年推進するアーバン・リニューアルの縮図だ。

では、アーバン・リニューアルとは何を指すのだろうか?華南理工大学の巫喜麗准教授は、「アーバン・リニューアルとは、主に、都市化の発展が成熟期に近づいた時に、メンテナンス・リノベーション・解体、公共資源の整備といった合理的な『新陳代謝』を経て、都市空間資源を再調整、再配置することで、人々の希望やニーズによりよく応え、経済、社会の発展の実情によりよく適応していくことを指す」と説明する。

改革開放(1978年)以来、中国は世界最大規模で、最速の都市化のプロセスを経験してきた。現在、中国の常住人口ベースの都市化率は64%を超え、東部の一部の沿海都市では70%を超えている。

世界の経験や発展の規律からすると、都市が急速に発展する過程では、往往にして市政インフラの老朽化や渋滞、環境汚染、歴史的建造物が多く再開発が難しいといった「都市病」に直面する。

中国では現在、アーバン・リニューアルを通して、積極的に質の高い発展を実現し、人々の都市での心地よい生活に対する新たな期待に応える都市が増加している。

アーバン・リニューアルを推し進めるためには、法的保障が必ず必要となる。以前は大規模解体、大規模建設を実施することが多かったものの、中国各地は現在、こうした傾向を法律によって厳しく規制し、プチリノベーションを奨励することをアーバン・リニューアルの重要な原則にしている。

中国都市計画設計研究院の王凱院長は「アーバン・リニューアルでは、物質的空間だけでなく、歴史や文化といった精神的なものを背負っているコンテンツもリニューアルされる」と説明する。歴史と文化の保護を重視することが現在、各地がアーバン・リニューアル関連の法律を制定する際の「標準装備」となっている。(編集KN)

「人民網日本語版」2023年1月18日

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