中国の三、四線都市での就職望む大学生が増加傾向 最新社会青書

人民網日本語版 2023年02月01日16:28

中国社会科学院社会学研究所・社会科学文献出版社がこのほど発表した「社会青書:2023年中国社会動向分析と予測」(以下、「青書」)は、大学生が好む就職する地域は依然として偏っており、北京、上海、広州、深センといった一線大都市や経済が発展している二線都市を好む大学生が大多数を占めている。ただ、その割合はゆっくりと下降する傾向にある。一方、三線都市や四線都市、県の行政中心地、末端の郷・鎮、農村などで働きたいと考えている大学生の割合は低いものの、上昇傾向にある。1千万人を超える卒業見込み大学生にとって、それは新たなシグナルとなるのだろうか?光明日報が報じた。

一、 二線都市が依然として第一候補

中国マクロ経済研究院社会政策室の魏国学副主任は、「一線都市は競争が激しく、給与水準や生活の快適度といった面でも理想的ではないかもしれないが、キャリア発展の上限が高く、就職の機会も多いため、転職する際や失業した場合にも新たな仕事を見つけやすい。大学卒業生が三、四線都市で仕事を探すと、競争のプレッシャーは小さいものの、労働者市場の規模が小さく、長い目で見るとキャリア発展に限界がある」と説明する。

そして、「卒業生は、一線都市にするか、三、四線都市にするかを決める際、本質的にはキャリアプランにおいて長期的、短期的メリットとデメリットを比較的考慮するため、一線都市の魅力が低まっているというわけでは決していない」との見方を示した。

三線都市や四線都市で就職したいという大学生が増えてはいるももの、「青書」によると、「2021年、北京、上海、広州で就職したいと考える大学生の割合は34.1%、二線の省都または経済が比較的発展している非省都の割合は39.27%」となっており、合わせると70%を超えている。つまり、ほとんどの大学生は依然として、これまでと同じく「大都市」を好んでいるということだ。

魏副主任は、「一線都市の資源集積と配置能力は増強の一途をたどっているほか、職場の魅力も高まり続けているため、熾烈な競争がエスカレートしている。そのため、卒業生が長期的に見て得られる収益が、短期的な競争がもたらす損失を上回ることは難しいと考えるようになると、三、四線都市に行きたい意識が高まっていくだろう」と分析する。

就職する都市選びは「一発勝負」ではない

青書を見ると、ここ3年の間に、三線都市や四線都市で就職することを希望した大学卒業生は、2018年が7.29%で、2021年には11.77%にまで上昇した。

魏副室長は、「いくつかのカギとなる要素が卒業生に与える影響が大きくなっており、卒業生が三、四線都市に目を向けるようになっている。都市の限界発展能力が低くなるにつれ、都市では就職の競争が高まり、一線都市は成熟期に入り、経済成長が鈍化し、質の高いポストを放出する速度も鈍化している。学歴を含め、労働者市場が卒業生に対して設けるハードルが高まり、求職競争は日に日に熾烈になっている。一方、三、四線都市は全体的な発展水準は低いものの、急速に発展しており、求職者にとってはプラスの要素となり、競争もそれほど激しくない」と分析する。

そして、「デジタル経済は、距離やロケーションがキャリアプランに与える影響をある程度低下させている。デジタル経済が、国民経済に占める割合が高まり続けるにつれて、三、四線都市に散在する雇用が大量に創出され、卒業生に与える給与やチャンス、キャリア発展の余地は、一線都市とそれほど変わらなくなっている」とし、「どの都市で就職するかは、『一発勝負』ではなく、『長期戦』。00後(2000年以降生まれ)を含む新しい世代の大学卒業生は、就職に関して柔軟な見方をしており、転職のペースも速い。一線都市であっても、三、四線都市であっても、キャリアプランが一瞬にして決まるわけではなく、三、四線都市で就職した後にも一線都市に戻って来ることができる」との見方を示す。(編集KN)

「人民網日本語版」2023年2月1日

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