四川省成都市に住む梁実さん(56)は、今回で27回目となる中国大学統一入学試験(通称「高考」)受験の準備をしている。梁さんの今年の目標は、「国家重点大学に合格すること」で、「今回が最後のチャレンジになることを願っている」としている。
ここ数年、梁さんは、「なぜ受験し続けるのか?」や「合格してどうなるのか?また不合格だったからといってどうなるのか?」と多くの人からしばしば問いかけられてきたという。
2022年の「高考」終了後、試験会場となった学校の前に立つ梁実さん(写真提供・梁実さん)。
「遊ぶことが好き」という梁さん自身も、「勉強は楽しくない。受験勉強は本当に苦痛だ。でも、国家重点大学に合格すれば目標を達成したことになる。体裁よく言うならこれは『夢』なんだ」と話す。
そして、自分自身を「とにかく自信だけは満々」としており、「他の人の言うことはほとんど耳に入ってこない。面と向かって、高考受験は『歓心を買うためだ』とか『話題作りだ』とか、誰かに言われても、反論する気にもならなくなった。体力的にも感情的にもそうする力がなくなった」という。
27回目の「高考」チャレンジ
梁さんは以前、「夢」を語るのは「虚しい」と感じていたものの、振り返ってみると、「大学に通いたい」という目標がこれまでの人生の支えとなってきたとも感じているという。
両親が教師という梁さんが初めて高考を受験したのは1983年のことだ。学生時代、梁さんは成績が悪く、3度受験に失敗。1987年から1991年にかけても5年連続で受験したものの、学部の合格ラインには到達できなかった。
「高考」を諦められない理由について、梁さんは、「大学はとても神聖な場所。大学、それもいい大学に通いたい。また高校卒業後、仕事がずっと見つからず、当時は就職するために大学に通いたかった。高考を通して、運命を変え、自分の価値を証明したかった」と話す。
その後、「高考」受験を一旦やめた梁さんは1992年に木材会社をリストラされた後、起業。そして、メンズ服の販売で年間2万元(1元は約19.5円)稼いだこともあれば、木材の卸売をしたこともあり、成都市で最も早い時期に自家用車を手に入れたほどだった。
しかし、2001年に「高考」受験の年齢制限が撤廃されると、梁さんは大学に通いたいという「夢」を再び蘇らせた。そこで2002年に「高考」を再び受験してみたところ、約370点という成績だった。2010年、40代になっていた梁さんは事業も家庭もすでに安定した段階になったという思いから、「高考」を最重要事項とし、これまで毎年受験を続けてきた。
2022年、55歳だった梁さんは26回目の受験に失敗。取材に対して、「来年また受ける」と語った。数ヶ月後、梁さんは本当に受験勉強場所にしている「茶館」に再び姿を現し、27回目のチャレンジに向けて準備を始めた。
「第一志望合格ラインより上の大学だったらどこでもいい。第二志望の合格ラインより上のいい大学でも考える」と、梁さんは今年、国家重点大学である「四川大学」にこだわるのはやめて、大学に通うという「夢」をできるだけ早く実現することに力を注いでいるという。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年6月7日