資料写真(写真提供・新華社。撮影・黄偉)。
中国の商務部(省)と税関総署は3日に公告を発表し、国家の安全と利益を守るため、国務院の承認を受けて、ガリウム・ゲルマニウム関連製品に対する輸出規制の実施を決定したことを明らかにした。公告は2023年8月1日から正式に実施する。
外交部(外務省)の汪文斌報道官は5日、「ガリウム・ゲルマニウム関連製品には明確な軍民両用の属性が備わり、ガリウム・ゲルマニウム関連製品に対する輸出規制は国際的な慣行だ。欧州連合(EU)加盟国も一部の品目について輸出規制を実施している。中国政府は法律に基づいてガリウム・ゲルマニウム関連品目に対する輸出規制を実施して、これらが合法的な用途に用いられるよう保証するもので、どこか特定の国を標的にしたものではない」と述べた。
中国はガリウムとゲルマニウムの2種類の鉱物の世界最大の生産国だ。ガリウム・ゲルマニウムは半導体の製造で中核となる原材料で、特にガリウムは中国が世界の生産量の95%を占める。
商務部国際経済貿易協力研究院の梅新育研究員は、「中国はガリウム・ゲルマニウムの世界一の輸出大国であり、正常で安定したグローバル貿易秩序は中国の国家利益に合致し、また中国も信頼できるサプライヤーと販売市場のイメージ構築と維持を図りたいとしている。このたびの輸出規制措置は、まずガリウム・ゲルマニウムの生産に関わる企業にとって好材料となる。なぜなら中国のガリウム・ゲルマニウム資源の供給量は世界の中で非常に高い割合を占めており、予見可能な今後数年間において、各側が代替可能な供給源を見つけることは不可能だからだ。そのため規制は中国のガリウム・ゲルマニウムの輸出価格を引き上げ、関連企業の輸出による収益を高めることになる」と述べた。
梅研究員は「次に、米国から輸入した半導体、クラウドコンピューティングなどの製品・サービスを利用する必要のある中国企業にとっても好材料だ。なぜならこの規制は米国の中国への半導体の輸出規制とクラウドコンピューティングサービスの使用制限に対して、中国がこれらをある程度抑止できることを示しているからだ」と続けた。
梅研究員は、「さらに、この規制は中国の独自開発した半導体とその他の情報技術(IT)産業の関連企業にとっても好材料だ。なぜならこの規制は中国に外圧に対抗する能力があることにより、中国の関連産業チェーンの発展のために十分な成長の時間と空間を獲得する能力があることを示しているからだ」と述べた。
昨年10月、米商務省は半導体製造や先進的コンピューティング技術などの分野で対中輸出規制措置を強化した。対外経済貿易大学中国世界貿易機関(WTO)研究院の屠新泉院長はこのほど発表した論文の中で、「米国は確かな証拠がない状況の中で、中国に対する不合理な輸出規制を実施した。これはWTOルールに明らかに違反しており、国際法を公然と踏みにじることにほかならない。米国が不合理な輸出規制を実施し続けるなら、半導体産業の正常な市場秩序をさらに混乱させるだけで、半導体産業チェーンにある各国・地域がいずれも敗者になるだけだ」との見方を示した。
アナリストは、「中国の輸出規制の実施は、米国と本質的に異なるものだ」と指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年7月6日