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<企画>東中国海防空識別圏を全面解説

 中国政府は23日、東中国海に防空識別圏を設定したと発表するとともに、航空機識別規則公告と識別圏図を発表した。実際にはすでに世界20数カ国・地域が防空識別圏を設定している。防空識別圏の歴史、効果、特性、設定した理由などについて専門家に話を聞いた。



【専門家が解説 防空識別圏とは何か】


■ 防空識別圏とは何か

 防空識別圏について各国間に統一の定義はまだない。一般には、海に面した国や地域が海空防衛・安全保障上の必要に基づき、空からの脅威への防備のため、海洋上空に設定する特定空域である。>>>詳細へ

■ 防空識別圏の歴史

 防空識別圏は決して新しいものではなく、誕生の背景は1940年にまで遡ることができる。
 >>>詳細へ

 防空識別圏を最も早く設定した国は1950年の米国と1951年のカナダだ。日本、アイスランド、韓国、イタリア、マレーシア、フィリピン、インドなど20数カ国がすでにこの制度を構築している。>>>詳細へ

【防空識別圏の役割と目的】


■ 防空識別圏の役割

 防空識別圏の役割は主に3つある。

(1)防空識別圏の設定によって、防空早期警戒の範囲を効果的に広げることができる。

(2)防空識別圏の設定によって、飛行活動の管理・コントロール空間を拡大し、空域管理・コントロールの実効性を高めることができる。

(3)防空識別圏の設定によって、空中管理・コントロール行動の規範性を強化できる。>>>詳細へ

■ 防空識別圏の目的

 防空識別圏設定の根本的目的は国家の防空・安全を維持するためであり、基本理念は敵を国の外で防ぎ止めることだ。国家の自己防衛権を行使するうえで必要な、主権国家の重要な防御手段だ。>>>詳細へ

【東中国海防空識別圏の設立】


■ 東中国海防空識別圏の範囲

 中華人民共和国政府は「中華人民共和国国防法」(1997年3月14日)、「中華人民共和国民用航空法」(1995年10月30日)、「中華人民共和国飛行基本規則」(2001年7月27日)に基づき、東中国海防空識別圏の設定を宣言する。具体的範囲は以下の6点をつないだ線と中国領海線間の空域である。北緯33度11分・東経121度47分、北緯33度11分・東経125度00分、北緯31度00分・東経128度20分、北緯25度38分・東経125度00分。北緯24度45分・東経123度00分、北緯26度44分・東経120度58分。
中国が防空識別圏を設定
中国周辺各国が防空識別圏を設定

■ 東中国海防空識別圏航空機識別規則公告

 東中国海防空識別圏を飛行する航空機は、以下の識別手段を提供しなければならない。
(1)飛行計画識別、(2)無線識別、(3)トランスポンダ識別、(4)ロゴ識別>>>詳細へ

【東中国海防空識別圏設定の法的解釈】


■ 国家主権を守る合法的措置

 国連憲章第51条も国家が「自衛の自然的権利」を有することを確認している。航空分野では国際民間航空条約第1条が、各国は領空に対して完全かつ排他的な主権を有すると定めている。>>>詳細へ

■ 国際的慣行に合致

 防空識別圏制度は20世紀半ばに米国とカナダが他国に先駆けて創始したもので、多くの国々が続々と後に続いた。現在までにオーストラリア、ミャンマー、韓国、キューバ、フィンランド、ギリシャ、インド、アイスランド、イタリア、日本、リビア、パナマ、フィリピン、ドイツ、タイ、トルコ、ベトナムなど20数カ国が防空識別圏を設定。>>>詳細へ

■ 他国の合法的権益を損なわず

 主権と領土保全の相互尊重は国際社会の一致して認める国際法の原則であり、中国が東中国海防空識別圏を設定する上で従った重要な点でもある。中国の東中国海防空識別圏の設定範囲は他国の領空に及ばず、周辺国の領空主権を十分に尊重している。>>>詳細へ

【専門家が解説 中国が防空識別圏を設定した理由】


■ 中国の防空識別圏設定は、日米の同じやり方に続くもの

 中国戦略文化促進会の羅援常務副会長:防空識別圏は緩衝地帯やファイアウォールのようなもので、海上方面からの空の脅威や不明飛行物に対して、それぞれの状況に応じて識別、監視、管制、処置など相応の措置を速やかに講じて対処する。>>>詳細へ

 軍事専門家の尹卓氏:防空識別圏の設定は国家の安全保障情勢の推移上の要請に基づくもので、中国の海洋方面の防御システムを完全なものにすることができる。>>>詳細へ

■ 防空識別圏設定は、実効性ある安全管理にプラス

 尹氏:防空識別圏の設定は中国の領空の拡大を意味せず、中国の主権の外への拡大も意味しない。他国の航空機の正当な飛行権の行使に影響を与えることはない。航路が民間航空機の航路ではなく、高度や速度が民間機と一致しないことなどから軍用機を発見した場合は、戦闘機を発進して阻止する必要がある。>>>詳細へ

■ 他国の防空識別圏との重複はどうするか?

 中国の専門家は「重複区域については各国が意思疎通と交流を強化し、飛行秩序を共同で維持することが肝要だ」と指摘。>>>詳細へ

【中国周辺各国も防空識別圏を設定】


■ 日本の防空識別圏

 日本は縦長の地理的形状に基づき防空識別圏を設定している。海岸線から最大800キロメートル離れ、領空、領海、排他的経済水域(EEZ)をカバーし、西は中国の釣魚島(日本名・尖閣諸島)空域もカバーしている。>>>詳細へ

■ 韓国の防空識別圏

 韓国の防空識別圏は朝鮮戦争後に設定されたもので、9つの経緯度座標をつないで構成される。北、西、北東の境界線は領空から割合離れており、南、南東の境界線は割合近い。>>>詳細へ

■ ベトナムの防空識別圏

 ベトナムの防空識別圏の基本的役割は各種空中目標に対する早期警戒、識別、監視・制御だ。>>>詳細へ

【各国の防空識別圏に共通の特性】


 防空識別圏制度には国家性、一方性、安定性、防御性、強制性という5つの特性がある。

(1)行為の国家性。防空識別圏の設定は国家行為であり、鮮明な国家性を備えると一般に考えられている。>>>詳細へ

(2)設定の一方性。防空識別圏制度と国際法は「相容れる」ものであり、防空識別圏の設定は国際法の基本的原則・要請に違反しないというのが国際法学界の一致した見解だ。>>>詳細へ

(3)効力の安定性。制限空域、危険空域、臨時進入禁止空域と比べ、防空識別圏は相対的な安定性を備える。>>>詳細へ

(4)目的の防御性。防空識別圏制度は現代空中早期警戒メカニズムの重要な構成要素だ。>>>詳細へ

(5)一定の強制性。領空と異なり防空識別圏内で国は完全な、排他的な権利は有さないが、国際的慣行に基づき他国の航空機は設定国の規定に従い正体、方位、飛行計画などの情報を報告する必要がある。>>>詳細へ

【東中国海防空識別圏について中国政府の立場】


■ 中国政府による東中国海防空識別圏設定の根拠

 国防部(国防省)楊宇軍報道官が23日、「中国政府による東中国海防空識別圏設定には十分な法的根拠があり、国際的慣行にも沿っている。」と表明した。>>>詳細へ

■ この時期で東中国海防空識別圏の設定を発表した理由

 外交部(外務省)の秦剛報道官は25日の定例記者会見で、「東中国海防空識別圏設定の発表時期は、完全に国家の主権と領土領空の安全を維持するための必要性に基づくものだ。」と表明した。>>>詳細へ

■ 釣魚島の領有権問題

 外交部(外務省)の秦剛報道官は24日、防空識別圏が釣魚島(日本名・尖閣諸島)をカバーしていることについて「釣魚島及びその附属島嶼は中国固有の領土であり、釣魚島の主権を守る中国側の決意と意志は断固として揺るがぬものだ。中国側の措置は国連憲章など国際法と国際慣例に完全に合致しており、完全に正当でもある。」と表明した。>>>詳細へ

■ 防空識別圏、外国の国際便の飛行への影響はない

 外交部(外務省)の25日の定例記者会見で、秦剛報道官が東中国海防空識別圏内での外国の国際便の正常な飛行はいかなる影響も受けないと明確に指摘している。>>>詳細へ

■ 中国大使館の在留届通知と防空識別圏は無関係

 外交部(外務省)の25日の定例記者会見で、秦剛報道官が在日本中国大使館はこのほど、在留届に関する通知を出したことについて「在留届は国際的慣例であり、各国政府および在外機関はいずれも海外に滞在する自国民を保護する責任と義務があり、中国も例外ではない。過度の連想や不必要な解釈はしないでいただきたい。」と表明した。>>>詳細へ

 在日本中国大使館の楊宇報道官は「2011年に周知の東日本大震災が発生した。今年も日本当局は発生しうる自然災害に関する情報をたびたび発表している。こうした状況の中、地震など発生しうる自然災害で在留国民に助力するため、大使館は在留国民の情報をあらかじめ登録しておく必要がある。」と表明した。>>>詳細へ

(編集LX)

 「人民網日本語版」2013年11月28日

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