「良き夫」選考試験で試される中国政府の民生政策
19日付米華字紙「僑報」に、「政府の民生政策も試される『良き夫』選考試験:中国全国の1980年代生まれ女性が『良き夫』を選抜するための統一テスト」と題する記事が掲載された。これが中国のネット上で大きな話題を呼び、2万人を上回るネットユーザーが転送したのと同時に、ワクワクしながら試験に取り組む人々もいた。少し前に話題になった「中国の母親が娘婿に求める十大条件」や「恋愛を始めるにあたり相手に求める最低収入条件」から、今回の「『良き夫』選考試験」にいたるまで、独身男女が最大の関心を寄せる「結婚」という一大事は、果てしなく「数値化」され、ついに「ナンセンス」と思えるようなテストになり果てた。ネットユーザーたちは、「良き妻、良き夫と結ばれることは、本当にこれほど難しいことなのか?」と思わず大きなため息を出している。環球網が報じた。
テスト方式で夫を選ぶのは、一種の「パフォーマンス」であり、その人気は、中国が現在直面している「中国式結婚」に絡む諸問題を如実に反映している。まず取り上げられたのは、当然のことながら、財産に関する条件だ。選考試験では、「結婚資金はどちらが出すのか」「不動産はどちらの名義にするのか」など、住宅価格の高騰という現状に関係の深い問題が出題された。マイホームはもはや、結婚話がまとまるための物質的基盤となっており、夫婦いずれの名義にするかは、男性の誠意と女性の将来にかかわっている。一昨年物議をかもした「新婚姻法」における「結婚前の財産公示」が、その典型例だ。中国人の結婚は、国情のもと、現実と感情のしがらみから今もなお抜け出せていない。
「中国式結婚」問題の2つ目は、何と言っても嫁姑の軋轢(あつれき)だ。「男性の親が故郷の家を離れて息子夫婦の家に移り住むことについて、どう考えるか」という試験問題は、中国人に顕著な「嫁姑問題」の悩みを浮き彫りにしている。これはむろん、東洋独自の倫理観から出た問題である一方、中国における養老制度が完備されていない現実とも関係が深い。「老有所養(老いても面倒を見てくれる人がいる)」が制度面で100%実現すれば、現実の嫁姑問題も少しは緩和され、それが原因での夫婦の離婚率もある程度下がると予想される。
3番目の問題として、中国女性の考え方の進歩が挙げられる。「女性が専業主婦から社会で活躍するキャリアウーマンに変身することを支持するかどうか?」「男性が料理に腕をふるえるかどうかは、良き家庭人として当然備えるべき資質か否か」など、選考試験で出題された問題は、「東洋人女性は家庭の束縛から解き放たれて一個人としての社会的価値を追求すべき」という価値観が反映されている。この点において、中国は、欧米先進諸国に近づきつつある。
中国式結婚における感情と現実のしがらみは、中国社会の価値観体系の弊害そのものといえよう。人々の感情がますます薄っぺらなものになり、愛情と現実とが噛み合わなくなり、マイカーやマイホームが配偶者選びの最優先条件となり、「愛にもとづく結婚」は行きすぎた「数値化」に取って代わられた。このような、地位や財力を重視して配偶者を選ぶという結婚観は、社会にマイナス影響を及ぼし、数値化された物質的条件や物質的保障をひたすら追い求める姿勢によって、眼先の利益を求めるだけの社会的風潮がいっそう拡大し、あげくの果てには全ての人々にダメージがもたらされる。
価値観の転換は大仕事である。よって、中国式結婚において、感情にウェイトを置いて現実を二の次とするためには、社会全体の主動的な変化に頼る必要がある。それと同時に、政府が結婚に絡む民生問題を徐々に解決していくことも重要だ。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年3月22日