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中国・世界遺産申請ブームの陰に潜む問題 (2)

 ある面から見れば、世界遺産申請のための巨額出費は、歴史的な借金を「返済」するという意味合いを帯びている。ユネスコは、「自然遺産に登録された観光地区は、人類にとって貴重なかけがえのない財産として、その価値を完璧かつ正確に反映しなければならない」と求めている。しかし、中国の名所旧跡の多くは、とうの昔に荒れ果て、観光地内では新しい建物が続々と建設され、開発業者の手で別荘やリゾートが乱立し、さらには深刻な環境汚染をもたらす工業プロジェクトまで建設される始末だ。これだけでは済まない。1億年前の地形や数千年前の古寺が荒らされ放題に荒らされても、観光地の多くは修復のためにお金を使おうとせず、評価会に出す資格さえない。世界遺産申請プロジェクトの多くでは、投入資金のほとんどが違法建築の取り壊し、住民の移転、道路の改修、古代建築の復元に充てられるのが実情だ。このため、中国は、「いくら使うか」ではなく、「中国の貴重な自然・文化遺産がなぜ破壊されたのか」という問題について、真剣に再考しなければならない。過去にこれほどまでに破壊が進まなければ、今後の世界遺産申請のための必要経費がこれほど多額には成り得なかったはずだ。

 「世界遺産申請ブーム」の中で、世間が納得できないのは、投入額の多さではなく、世界遺産に対する中国の態度である。雄壮で美しい山河や豊富な人文遺跡は、自然からの贈り物であり祖先が遺してくれた大きな恵みである。それらをしっかり保護し、発展させることは、我々が決して逃れてはならない責務といえる。なのに、中国はどうして、ブームが興る以前に、大金を投じて観光地の整備を進めなかったのだろうか?外国人が中国の自然・文化遺産を重視する前に、どうして自らの意思でお金を使って整えようとしなかったのだろうか?世界遺産への申請というきっかけがなかったら、中国は貴重な遺産を保護するという考えさえ思いつかなかったのだろうか?

 当然のことながら、「世界自然・文化遺産」という称号は、極めて立派な看板となり、観光地の知名度を格段に高める。だが、このような「称号」がなくても、遺産自体の価値が目減りすることはない。「バラは、バラという名でなくても、美しく芳しい」という西洋の諺の通りである。肝要な点は、人々がバラを観賞し愛することであり、「損か得か」の基準でバラを評価することなどあり得ないということだ。世界遺産申請のために多額を拠出することについて、我々は、「この花は、申請してもしなくとも、美しい花に変わりはない」という態度を持つべきであり、他者のためではなく、自分自身のために、自然・文化遺産を保護しなければならない。

 中国では、今もなお、自然・文化遺産に対する理性的な認識と心底からの愛情が不足している。深い理解の上に築かれた愛情があってはじめて、国民の心に強い感情が生まれ、自発的な保護という具体的行動に移ることができる。「世界遺産に申請するかどうか」をめぐる議論は、その次だ。(編集KM)

 「人民網日本語版」2013年8月29日

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