海外メディア:「中国、子ども2人は『ぜいたく品』」 (2)
23日付シンガポール華字紙・聨合早報には、「極めて難しい選択:単独ニ胎」と題する記事が掲載された。
「2人目の子ども」は「ぜいたく品」だ。「産むべきか、それとも産まざるべきか?」-これは、中国人家庭がこの1週間、最もあれこれ考えを巡らせた問題であろう。
国民が長い間待ち望んでいた、「単独ニ胎(夫婦いずれかが1人っ子の場合は2人目の出産が認められる政策)」が正式に実施の運びとなった。確かに、2人目が欲しいと願い続けていた、どちらかが1人っ子の夫婦は、このニュースを聞いて小躍りしたに違いない。条件を満たす中国人夫婦は、「子ども1人は少なすぎる。2人がちょうど良い」と世間で言われている言葉通りの家庭生活を、正々堂々と営める権利を得たのだから。
計画出産計画の実施後、中国には約1億人の一人っ子が誕生した。これはつまり、新政策の条件に叶った家庭がそれだけの数生まれたことを意味する。だが、一人っ子政策が緩和された今、この新たな権利を享受するか否かについては、「十分な検討を要する」という姿勢の家庭が大部分を占めている。
人々の価値観に変化が生じるにつれて、「2人目が欲しい」という中国国民の積極性も、以前ほど大きいものではなくなっている。その上、子どもが男だった場合は、単に「家族が増える」だけでは収まらない。都市住民の生活コストは何もかもが高騰しており、2人目を育てることができる消費能力があって「2人目を生む」のではないことは、誰の眼にもはっきり分かる。
「生む」は易いが、「育てる」は極めて困難な、非常に長い道のりだ。中国のネット上で広まっている家計簿詳細によると、北京・上海・広州などの大都市で、子ども1人を大学卒業まで育てるためには、200万元(約3340万円)以上かかる。これに対し、政府系データによると、北京の勤労者の昨年の平均月収は5223元(約8万7千円)だった。
当然のことながら、子どもが2人いることの良さは多々ある。「子どもは1人だけ」の計画出産策のもとで、両親は当然、一人っ子が孤独に陥らないかと心配したが、一人っ子という巨大な人口の塊の性格や特徴は、社会からも広く関心を集めた。米サイエンス誌に掲載された調査報告によると、1979年以降に生まれた中国の一人っ子は、「相互信頼力」が低く、リスクを避ける傾向にあり、悲観的な考えに陥りやすいという。報告は、「このような傾向は、中国の社会・経済に対して広い範囲で影響を及ぼす」と指摘している。
「空の巣家庭の高齢者に対する精神面での関心や愛情が不足している」状況は、「一人っ子」政策から派生した問題といえるだろう。家庭で老後の日々を送ることは、中国の伝統的な養老モデルであり、親世代が老年期に差しかかるにつれて、中国の第一世代一人っ子は、親の扶養という圧力に直面している。だが、現在の社会環境において、老いた親の面倒を見る力がない一人っ子もおり、これは避けて通ることのできない社会問題になっている。
個々の家庭にとっても、国家全体にとっても、「子ども2人」の時代を迎えることは、ひとつの試練となるだろう。中国政府は、長年にわたり議論を繰り返した末、慎重かつ妥当な一歩を踏み出した。しかし、それによって、政府は今後、人口増加によってもたらされる入学難や就職難という問題に向き合わざるを得ない。
「単独ニ胎」が現実のものとなり、「生むか、それとも生まないか」という選択肢を突きつけられ、ためらいの中にいる多くの家庭は、「2人目を諦めるのはもったいないのでは?」という考えを抱いている。夫婦いずれかが1人っ子の家庭が2人目の出産を認められ、これまでのように2人目を生んだことで高額の罰金を支払う必要もなくなったことは、「生んでも良いのなら当然生む。生まないのは損だ」という中国人ネットユーザのコメントのように、中国国民が長く待ち望んできた「福祉」であることは間違いない。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年11月25日
<企画>中国、「単独二胎」政策を実施へ