人民元の国際決済機能が強化 世界13位の決済通貨に (2)
SWIFTの人民元担当者は「香港、ロンドン、シンガポールなどオフショア人民元センターが人民元の決済通貨としての成長を明らかに推し進めている。中国工商銀行シンガポール支店が最近、同国の人民元決済銀行として承認されたことでも、人民元決済の増加が一段と後押しされるかもしれない」と指摘する。
■人民元業務を扱う金融機関は世界で1万社以上
HSBCの報告「人民元の台頭II」によると、2011年6月にはわずか900社だった人民元業務取扱金融機関は2012年8月には1万社を超えるにいたった。この3年間でオフショア人民元はゼロから発展し、現在では9000億元規模にまで近づいている。中国の貿易決済における人民元の割合は2010年の3%から2011年には9%、2012年には12%に高まった。人民元の国際資本移動も始まっている。2012年に人民元建ての外国の直接投資はほぼ3倍になり、人民元建ての対外直接投資も50%増加した。これは国際社会による人民元の受け入れがすでに貿易決済から投資分野にまで拡大し始めたことを意味する。
報告によると2010年の発足以来、人民元オフショア市場は力強い成長を続けている。人民元商品の範囲はどんどん広がり、ヘッジ、資金調達、投資を求める市場参加者に著しい影響を与えている。現在、国際人民元取引の79.6%が香港で処理されている。2012年7月以降、オフショア人民元決済の4%がロンドン、3.9%がシンガポールで処理されている。最近中国の台湾省とシンガポールも人民元決済銀行を承認した。英国もすぐに続く兆しが見られる。
報告は2015年までに中国の貿易額の3分の1が人民元建て決済となり、人民元は世界3大貿易決済通貨の1つになると予測している。だが金融関係者の一部は、この予測は楽観的すぎるかもしれないと指摘。人民元の国際化、特に資本取引の自由化実現にはまだ相当長い時間がかかると見ている。