「現金も、クレジットカードも持たずに、スマホを持っていればどこにでも行ける」。モバイル決済が急速に発展するにつれ、これが多くの中国人の生活スタイルとなっている。中国最西端の西蔵(チベット)自治区の全ての行政村でもモバイル通信の電波がカバーされており、辺鄙な場所にある村落や広大な放牧地にいる農牧民でも、生活必需品を購入する際、モバイル決済を利用している。米マーケティングリサーチ会社・ニールセンの統計によると、中国の消費者の86%がモバイル決済を信用して利用しており、この割合は他の国を大きく上回っている。英紙「フィナンシャル・タイムズ」の報道によると、2016年、中国の第三者モバイル決済の規模は倍増し、38兆元(約627兆円)に達した。同数字は、同年の米国のモバイル決済の規模の約50倍に相当する。
中国でモバイル決済が流行しているのは、インターネット金融サービスが爆発的に成長していることの恩恵と言える。中国の支付清算協会が発表している報告によると、ユーザーの60%が毎週モバイル決済を使用しており、うち、小口決済が絶対的な位置を占めている。ある専門家は、「モバイル決済は小さな企業の発展に大きく貢献している」との見方を示している。モバイル決済は、煩わしい手続きがいらず、ハードルも低いため、業務の展開が加速し、決済の効率が上がる。従来の金融機関が提供している大口決済サービスを補充し、明らかな市場の細分という特徴がある。また、モバイル決済は、都市部と農村部で並行して発展している。中国社会科学院金融所法・金融研究室の尹振涛副室長は、「第三者決済は、中国の庶民の消費観念や習慣を変え、インターネット銀行、スマホ銀行などの銀行決済サービスのグレードアップを促進したほか、社会全体の決済に必要なコストを下げ、実店舗の活気を刺激した」との見方を示している。
近年、多くの中国のインターネット金融企業が海外戦略を着々と進めている。アント・ファイナンシャル傘下の第三者決済サービス・支付宝(アリペイ)は、海外の決済機構やショップなどと提携して、増加を続ける海外旅行に出かける中国人観光客にモバイル決済や税金の払い戻しサービスを提供している。また、支付宝は、米国や英国、ドイツ、フランス、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ロシア、ブラジルなどの国の決済プラン提供会社と提携している。
14年以降、「インターネット金融」は3年連続で、中国政府の業務報告書に盛り込まれている。インターネット金融の整備、規範化、リスク対策、バーチャル経済から実体経済への移行が、3月3日から始まる中国の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で論議されるキーワードとなるかもしれない。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年2月27日
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