受取人の個人情報が記載されている宅配便の送り状は常にその情報漏洩リスクを抱えていた。そこで、中国国内の宅配便・物流業者は最近、受取人の個人情報が記載されていない送り状を試験的に使用することを始めており、将来的には消費者の重要な情報が記載されている従来の送り状を段階的に淘汰し、宅配スタッフが専用アプリで受取人と連絡を取るようにしていく試みだ。中国西北地域ではすでにこうした新しいタイプ送り状を試験的に採用しており、北京市でも4月からその試みがスタートする予定だ。北京日報が報じた。
安全性を考慮し、宅配便の箱を捨てる前に送り状を破ったり、仮名を使って宅配便のやり取りをしたりしている人も多い。アリババ傘下の物流サービスプラットフォーム・菜鳥網絡は先ごろ、中国の宅配便業者と共同で、特殊な技術を使って匿名化する送り状を打ち出した。この種の送り状には受取人の名前や電話番号の真ん中の4ケタが記されていない。菜鳥網絡によると、今後、送り状に記載される消費者の個人情報を更に少なくしていくという。
配達員はこれまで送り状に記されている情報に基づいて配達を行っていたが、この特殊な送り状の場合、受取人と連絡を取るためには、菜鳥網絡が物流業者に提供する「衆配宝」というアプリを利用することになる。配達員はアプリを通して受取人と連絡を取ることができるという。配達員は、ボタン一つで受取人と連絡を取ることができ、携帯電話番号をいちいち入力する必要もないため、配達の効率も向上すると期待されている。
これまで、受取人の個人情報が記載された宅配便は各ポイントを通過して受取人の所まで届けられるが、そのほとんどの通過ポイントにおいて、送り状の一部を保管しておかなければならないため、各プロセスにも個人情報が漏洩するリスクが伴う。実際に、宅配便業者のスタッフがその個人情報を売り、その情報に基づいて迷惑メールなどが送られたり、金銭をだまし取る詐欺が行われたこともあったという。このように送り状から個人情報が漏洩してしまうことがあるのだ。
中国国家郵政局は2015年11月1日から、宅配便の実名制を導入し、配達員に対して受取人の電話番号や関連の情報を照らし合わせてから荷物のやり取りをするようにと指示している。しかし、個人情報漏洩を心配し、匿名を使う人が多く、宅配便業者も特別な技術を使って個人情報を保護するという手段を講じることができずにいたため、実名制の実現は進んでいなかった。
菜鳥網絡の安全部の専門家・周磊氏は、「特殊な送り状は消費者の個人情報の根本的な保護を実現し、情報が宅配便運送の過程で漏洩することを回避する。今後、この送り状が宅配便業界で完全に普及するだろう。将来的には、もっと安全性の高い物流クラウドでサポートされ、効果的に外部からの攻撃を避け、漏洩しないようデータを守り、全ての過程の作業が個人情報が見えない状況下で行われ、根本から個人情報漏洩問題を解決できる」としている。業界関係者は、「宅配便業者は消費者の情報を把握することになるため、それが絶対に漏洩しないように、新しいスタッフが入社する際には、秘密保持契約にサインしてもらうことが必要」と提案している。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年3月30日
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