日本にはお寺がたくさんある。しかし、あまり有名でないお寺の多くは資金繰りが厳しい状況となっている。そして、以前あった収入源が縮小し、観光業に頼って生き残りを図るお寺も増えている。最近、外国人観光客が急増し、外国人の好みに合わせた体験や施設を準備して、収入を確保しているお寺が増えている。環球時報が報じた。
最近、和歌山県高野山聖山区のあるお寺には、畳の上で座禅を組んで瞑想する約20人の姿があった。僧侶が座禅を組んでいる人に、「この特殊な呼吸法で、怒りや悲しみを抑え、心を落ち着かせることができる」と伝えていた。これは、多くの人が想像している日本のお寺の状況とほぼ同じだ。しかし、このお寺のおもしろいところは、僧侶が英語を話しており、座禅を組んでいる人のほとんどがお寺に泊まった外国人という点だ。
和歌山県・恵光院の統計によると、客の60—70%が外国人だ。高野山地区の外国人観光客が激増しているのを背景に、このお寺は英語でのサービスを提供し、外国人にできるだけの「おもてなし」をしており、外国人観光客にとても人気がある。また、英語のサイトも立ち上げ、オンラインで宿泊の予約ができるようにもなっている。ここに泊まる人は、朝の勤行や護摩祈祷、阿字観瞑想など、お寺ならではの活動に参加することができる。また、宿泊客は夜に僧侶と共にお寺の奥の院をめぐるナイトツアーに参加することもできる。このような活動の際には、英語と日本語で説明がある。また、無料のWiFiやコーヒーも提供されている。
高野山地区にはお寺117ヶ所、宿坊52ヶ所がある。数十年前、日本各地のお寺の僧侶や信者が大型バスに乗ってこの地区に来ていた。しかし、1980年にピークに達した後、日本国内からの観光客数は激減した。しかし、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されたのを機に、この地区にも大きな変化が起き、外国人観光客がたくさん訪れるようになった。その他、高野山はミシュランガイドで「3つ星」評価を受けた。
宿坊情報を発信するサイト・寺宿坊研究会によると、高野山地区を訪問する外国人観光客は13年ごろから増加し始め、16年までの3年間で約3倍に増加した。中でも一番多いのがフランス人観光客で、以下、米国人、ドイツ人と続く。その他、日本の他の地域のお寺も外国人観光客に対する「おもてなし」を強化している。伝統的なお寺の宿坊は、多くの宿泊客が一緒に宿泊できる大きな部屋が多いものの、新しい施設には個室があり、英語ができるスタッフもいる。
それでも、日本の多くのお寺は資金繰りが非常に厳しい状態が続いている。日本内閣情報調査室の統計によると、16年3月の時点で、お寺やその他の宗教団体の平均収入は2020万円で、1994年と比べて約40%減っている。お寺、特に郊外のお寺は、檀家の数が大幅に減少しており、それに伴いお布施も減っている。その他、日本人の考え方やライフスタイルの変化により、シンプルな葬式や儀式で、亡くなった家族らを偲ぶ人が増えている。そのため、僧侶の出番も大幅に減っている。
先祖の墓がある実家から離れて仕事、生活する人が増え、檀家が特定のお寺に所属するという伝統も消えつつある。家族の墓を今住んでいる場所に近いところへ移す人も毎年約9万世帯ある。このような変化を背景に、お寺と檀家の関係も薄れ、儀式や祈祷などによる収入以外の収入源確保がお寺にとって生き残る手段となっている。ただ、宗教活動によって得た収益と違い、観光業などで得た収入は、お寺であっても納税が必要になる。そのため、現在、コミュニティーとの関係を保ちながら、その他の収入源を確保するというのが、多くのお寺の課題となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年10月10日
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