中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁はこのほど、中央為替業務センターは2018年、外貨準備リスクと收益のバランスを実現し、国の発展戦略や経済・金融の安定に重要な貢献をしたと強調した。
昨年11月末の時点で、中国の外貨準備高は約3兆900億ドル(1ドルは約108.2円)で、ここ2年はほぼ安定した水準となっている。格付け会社・東方金誠のマクロ経済チーフアナリスト・王青氏は、「国際通貨基金(IMF)の異なる為替レート制度やクロスボーダー資金流動管理スタイルの基準に基づくと、中国の外貨準備高は余裕がある水準と判断できる。そのため、外貨準備高は、中国のマクロ経済の安定した運営を強くサポートする要因となっている」と指摘。
そして、「外貨準備高を一番反映しているのは、国の対外支払い能力や対外債務返済能力。そのため、適度に余裕のある外貨準備高は、国内外市場の中国のマクロ経済や人民元の為替レートに対する信頼を安定させる助けになり、国内のマクロ経済運営に、正常で有利な外的環境を提供し、マクロ経済を安定させる役割を果たす」との見方を示す。
中国銀行国際金融研究所の為替研究員・王有■(■は品の口が金)氏は、「外貨準備高は、先進国が中国のリスクを判断するための重要な指標だ。外貨準備高が持続的に減少すると、市場では中国の外貨準備高に余裕があるのか、対外債務返済能力があるのか、人民元の為替レートは安定するのかなどに対する懸念が高まる。ハイレベルな管理体制下で、中国の健全性の目安となる外貨準備高の下限は約1兆6000億ドルと試算されている。現在、中国の外貨準備高は3兆ドルを超えており、さらに、中国の金融機関や住民が2兆ドル以上の海外資産を保有している。そのため、国際收支や外債返済、住民の海外資産の配置ニーズに十分対応することができる。過度に懸念する必要はない」としている。
中国国家為替管理局の統計によると、18年1‐11月期、中国の為替市場では累計171兆9600億元(1元は約15.7円)の取引があった。銀行の外貨買い取りは累計11兆3754億元、外貨売却は11兆7166元で、3412億元の赤字だった。
チーフエコノミストである中国国家為替管理局の王春英報道官は、「最近、国際環境が複雑に錯綜し、外的プレッシャーが持続的に存在している。しかし、中国の為替市場は全体的見ると、上下に変動し、基本的に安定しており、情勢の変化は見られない。これは安定して運営されている中国経済の根本的役割を示している一方で、為替市場に関与している主体が理性的で、外的環境の変化に適する能力が向上し続けていることを示してもいる。今後、中国は市場化改革の深化、ハイレベルな開放の拡大を堅持して、経済の持続した健全な発展を保ち、中国の為替市場の安定した基礎を築いていく」と述べた。
王有■氏は、「19年、外貨準備高は3兆ドル付近で変動し、それを超える月もあれば、下回る月もあるだろう。人民元のグローバル化が進み、人民元建てのクロスボーダー決算が増え、貿易黒字が減少するにつれ、外貨取得源が減る可能性もあり、それはネガティブなシグナルに見えるかもしれないが、正常な現象で、自国の通貨で決算するシーンが増えれば、過度に外貨準備高が増える必要はなくなる。ポジティブな面を見ると、中国の金融市場は開放が拡大しており、海外の機関や個人の人民元建て金融資産に対するニーズは高まっている。クロスボーダー資本流動を見ると、引き続き流入が上回る傾向が続き、外貨準備高を支えることになるだろう」との見方を示している。
王青氏は、「19年、中国の外貨準備高は3兆ドル前後を保ち安定した水準になり、引き続き余裕のある状況となるだろう。具体的には、中米の貿易摩擦が存在しているのを背景に、19年、中国の経常収支は、支出のほうが上回る状況も起きる可能性が高い。一方で、中国の金融市場の対外開放が拡大され、資本と金融収支が黒字となる局面も続く。経常収支が赤字で資本と金融収支が黒字という局面により、中国の国際收支も全体的にバランスが取れた状態を保つことになるだろう。19年、ドルインデックスを引き上げる動きは弱まる可能性が非常に高く、人民元安となる予想が強まることもなく、銀行の外貨買い取りと売却のバランスも統制が取れるだろう。また外貨準備高と為替レート換算による影響は小さい。それら3つの主な要素が大きな逆風となることはなく、中国の外貨準備高の安定を保つための基礎は固い」としている。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年1月4日
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