米国の電気自動車大手テスラは中国市場で収入が下落している。最新の2018年決算によると、同年の中国エリアでの収入は17億5700万ドル(1ドルは約110.7円)で、前年同期比13.3%減少した。それに対して、17年は同90%増加だった。統計データを検討すると、テスラの主力車種ModelSは中国最大の新エネルギー自動車市場である北京市と上海市でさえ、引き渡し量が1千台に届かない。業界の専門家は、「テスラが19年に直面する競争の圧力はさらに増大するだろう」と予想する。第一財経網が伝えた。
テスラは米国時間の19日、米証券取引委員会(SEC)に18年決算を提出し、それによると同年の営業収入は214億6千万ドルだった。注意しなくてはならないのは、中国はテスラにとって2番目の消費市場でありながら、「関税」などの影響により、売上高が前年より減少し、中国エリアでの収入が同13.3%減少の17億5700万ドルになったことだ。テスラ中国は20日、こうした18年の中国エリアの収入に関するデータは事実であると認めた。
17年のテスラの中国市場での動きには目を見張るものがあった。同年の世界営業収入は120億ドルに迫り、前年より48億ドル以上増加した。中でも中国市場がことのほか好調で、16年に比べて90%以上増加し、テスラにとって中国は世界で最も急速に成長する市場になった。
販売データを分析するとわかるのは、単価が高く、車種が少ないことを特徴とするテスラの最主力車種ModelSとModelXは、18年には中国市場での売れ行きが伸び悩み、地域ごとの違いも際立ったことだ。
テスラは18年に中国市場でModelSを4606台引き渡しし、地域は広東省、上海、北京、浙江省が中心で、この4省市での販売量が中国全体の76%を占めた。広東の広州市と深セン市という重要都市での販売量は1064台に達したが、中国最大の新エネルギー自動車の前線都市である北京と上海はそれぞれ784台と927台で、1千台に満たなかった。
ModelSよりグレードと価格が高いModelXは、18年の引き渡し量が9021台で、Sの2倍に迫った。主な販売エリアはやはり広東、上海、北京、浙江で、販売量全体への寄与度は60%を超えた。
自動車産業の経験豊富なアナリスト梅松林博士の分析によると、「販売量についていえば、18年は確かにテスラは中国市場で落ち込んだが、これは中国での積極的配置の転換点でもある」という。
梅氏は「中米貿易摩擦によりもたらされた『関税』の変動で、テスラの中国市場での売上に影響が出た。同時に、これだからこそテスラの中国に工場を建設し、現地化生産を実現するという動きも加速した。中国現地製造の新たな勢力が18年には新製品を次々市場に投入し、テスラの市場シェアの一部を奪い、ターゲットとする顧客層の一部が切り崩された」と分析する。
現地製造の新勢力の代表といえる蔚来汽車の場合、18年の引き渡し量は1万1348台、主力車種・蔚来E38は北京で1566台、上海で2133台を引き渡しし、いずれもテスラのSとXの両都市での引き渡し量を上回った。
梅氏は、「中国製造の新勢力がより多くの新製品を発売するようになると、テスラが19年に直面する競争圧力はさらに大きくなる。だが通商協議の新たな進展や調達・生産の現地化にともなって、テスラには今後さらに値下げできる潜在力があり、中国ブランドによる競争圧力の一部を相殺することが可能だ。また二線都市の開拓を十分に行い、三線都市へも進出することも、テスラの中国でのこれからの潜在的発展の可能性につながる」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年2月21日
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