工商銀は技術革新と応用についてこれまでずっと非常に積極的に取り組んできた。公開された資料によると、17年初めには、中国人銀行(中央銀行)のデジタル通貨発行とブロックチェーンに基づくデジタル手形取引プラットフォームの検討研究活動に参加したという
これら3行に比べて、中国建設銀行のブロックチェーンの取り組みはそれほど目を引くものではないが、実際にはかなりしっかりと力を入れている。18年の半期決算によると、越境ECと対外貿易の小規模・零細企業に向けてフルオンラインの、短いプロセスの金融サービスを提供している。「ブロックチェーン貿易」プラットフォームを打ち出し、国内信用状、フォーフェイティング、国際ファクタリングの分野で銀行や国境の枠を超えた実際の応用を実現し、取引量はすでに1千億元(1元は約16.7円)を超えている。
交通銀行は「支払い・決済+貿易金融」に焦点を当て、全チェーンにまたがる「オンライン+オフライン」の一体化サービスを構築している。
京東デジタル科学技術研究院の孟昭莉院長は、「ブロックチェーンの特徴は金融システム間のコアルールを変えるところにある。これは技術が金融を変えるという大きな流れだ。従来型金融機関がフィンテックの展開を絶えず進めて未来の産業における発展を勝ち取ろうとする過程の中で、ブロックチェーン技術が軽視できないものであることは確かだ」と述べる。
▽ブロックチェーンの展開に協力ウィンウィンの傾向
同研究院がまとめた統計データによれば、5大銀行のブロックチェーンの模索では、主な応用シーンに貧困者支援、金融詐欺対策、貿易金融、デジタル手形、国境を越えた金融、雄安新区の不動産賃貸への応用などがある。
孫センター長は、「産業の特徴により、銀行業は農村金融、サプライチェーン・ファイナンス、国境を越えた支払い、金融資産取引プラットフォームなどいくつかの分野でブロックチェーンを利用して応用と刷新を行う。優位性はより明らかだ」と強調する。
孟院長は、「ブロックチェーン技術の応用は銀行業の発展の軌跡を徐々に変えていくだろう。金融業のリスク管理システムの構築、金融の効率向上、国境を越えた支払い・決済、手形など多くの分野でこれまでの伝統をひっくり返すようなブレークスルーが起こることになる」と述べる。
現在、銀行のブロックチェーン展開には3つの特徴がある。1つ目はブロックチェーンがもたらす業務への実際的な効果に注目していること。2つ目はブロックチェーンが銀行の生態圏と業務シーンを開拓できるかどうかに注目していること。3つ目はブロックチェーンが銀行の金融リスク管理コントロールの目標達成を後押しできるかどうかに注目していることだ。孟院長は、「銀行はブロックチェーン技術の展開に際して成熟した技術や能力を備えたインターネット企業との提携を望む傾向があり、これは1つにはこうした企業の技術力に依拠して従来型銀行業務を改良しようとしているからであり、また1つにはこうした企業との踏み込んだ提携により、新業務の開拓を模索することが可能になるからだ」との見方を示す。
孫センター長は、「銀行はネット企業との提携を志向するだけでなく、伝統的企業との連携も望んでいる。現在、多くの銀行と伝統的企業がブロックチェーンの応用を共同開発し、たとえば牧畜養殖製品やアルコール製品のトレーサビリティ、小売の供給チェーンなどでの応用が模索される。ブロックチェーンは銀行がインダストリアル・インターネットにより深く融合し、フィンテックがより多くの応用シーンに溶け込むのを後押しすることができる」と述べる。
また孫センター長は、「未来のブロックチェーンはコンソーシアムチェーン、スマートコントラクトなどの技術を通じて銀行業が機関間金融資産取引プラットフォームを構築するのを支援することになる。これまでのような長い時間がかかり、手続きが煩雑で、時間的制約のあった金融資産取引が、これからは一瞬で終わるようになる。ブロックチェーン技術は将来、銀行がこれまで取り組んでこなかった業務や大々的に取り組んでこなかった業務でブレークスルーを達成するのを後押しすることもできる。たとえば動産譲渡担保、農村金融、サプライチェーン・ファイナンスなどで、銀行サービスが産業にさらに浸透できるようになる。そして金融サービスの体験がこれまでのような何日も何時間もかかるものから、短縮されて数分間の、さらには数秒間のものに変わる」と述べる。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年3月6日