世界自動車産業のバロメーターとされるジュネーブモーターショーが現地時間の5日、スイス・ジュネーブで開幕した。高級電気自動車(EV)の分野はもはや米EV大手・テスラの独壇場ではなくなり、ベンツやBMWなどの老舗メーカーが参入したほか、中国独自ブランドも力を入れ、独自の発想でテスラに追いつき追い越そうとしている。「北京日報」が伝えた。
▽中国ブランドが高級車種
中国国内で行われるモーターショーの国際的影響力が日増しに高まっていることから、中国自動車ブランドのジュネーブモーターショーへの出展意欲が低下していることは確かだが、引き続きこの国際的な舞台を選んで新車種を発表するブランドもある。
今回のショーをめぐり、中国のネット上で最も多くのコメントを集めているのは、北京汽車集団の世界新発売の高級スマート新エネ車ブランド「ARCFOX」(アークフォックス、中国名「極狐」)だ。今回、アークフォックスはブガッティ、ポルシェなどの世界トップブランドと同じ会場に出展し、同集団初の海外トップクラスモーターショーでの高級車ブランド発表にもなった。
アークフォックスの製品はレーシングカー、ミドル・ハイクラススマート乗用車、自動運転端末などのラインナップだ。新モデル3車種は世界初公開で、来年の発売が予定されている。「ARCFOX-GT」は一体型の炭素繊維ボディ、レース仕様のシャーシセットアップ、などの技術が採用され、0-100キロメートル毎時加速が2.59秒。スポーツ用多目的車(SUV)タイプの「ARCFOX ECF Concept」はスマートコックピット(運転席)を搭載し、さまざまな方法でユーザーを認識し、スマートインタラクションを実現し、量産型は自動運転レベル3(特定の場所でシステムが全てを操作し、緊急時はドライバーが操作)の基準を満たしている。
吉利・ボルボ傘下の高級EVブランド「ポールスター」初の完全電気自動車「ポールスター2」が今回のモーターショーに登場した。2月27日に世界発売になったばかりの同車は、元々4月の上海モーターショーで価格が発表される予定だった。だが3月1日にテスラが3万5千ドル(1ドルは約111.7円)の「Model 3」スタンダートモデルを売り出すと、Model 3をライバルとするポールスター2も前倒しで価格を発表。30万元から55万元といい、テスラへの強い対抗意識がうかがえる。
▽世界の新エネ車の半分は中国で販売
中国ブランドが世界進出を狙っているのに対して、世界の大手メーカーも新エネルギーの「追い風」に乗って、中国市場に全面的に力を入れている。
今回のモーターショーには世界から40を超えるメーカーが出展し、世界または欧州で初登場の車種は100に迫り、この100車種のうち、半数近くが完全電気自動車からプラグインハイブリッドカー(PHV)だ。ジュネーブモーターショーは欧州の主流モーターショーだが、自動車大手が発表する新製品は中国市場のニーズにぴたりと添ったものが多い。
たとえばベンツは2022年までに完全電気自動車9車種を発売すると発表し、このうち「ベンツEQE」、「ベンツEQA」、「ベンツEQB」、「ベンツEQC」とクラスの異なる4車種を中国で発売するという。アウディは同社始まって以来初めて、世界的モーターショーでEVとPHVだけを発表したほか、今年は中国市場向けに設計したEV「Q2 e-tron」を発売すると明らかにした。
データによると、18年には中国の新エネ車の生産台数は127万台で前年比59.9%増加し、販売台数は125万6千台で同61.7%増加した。中国は世界最大の自動車市場として、1年に世界の新エネ車のほぼ半分を販売する。これは世界の大手が次々と中国新エネ車市場に照準を定める理由でもある。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年3月8日