▽利益では後塵を拝する
出荷量という点で、ファーウェイとサムスン、アップルとの差は徐々に縮まっている。産業ウォッチャーの洪仕斌さんは、「ファーウェイの成長ペースから考えて、サムスンとアップルを追い抜くのにそれほど長い時間はかからない」と指摘した。
市場調査会社IDCが発表した18年の世界携帯電話出荷量の報告書によると、同年のサムスンのスマホ出荷量は2億9千万台で、市場シェアは前年の21.7%から20.8%に低下したが、世界1位はキープした。2位のアップルは2億800万台、シェアは14.9%で前年度とほぼ変わらなかった。3位はファーウェイで2億600万台、シェアは前年の10.5%から14.7%に増えた。
ファーウェイの消費者向け端末事業部門の余承東CEOは今月行われたファーウェイHiLink生態大会2019年の中で、「2019年にファーウェイのスマホ出荷量は2億5千万〜2億6千万台に達して、市場シェア世界一を狙っていく」と述べた。サムスンとアップルを打ち負かす目標は明らかだ。
だが注意しなければならないのは、利益に関してファーウェイは引き続き後塵を拝していることだ。市場調査会社カウンターポイントが発表した18年第2四半期の世界スマホブランド利益分布状況によると、アップルが引き続きスマホ市場の利益の大半を手中に収め、利益の62%を獲得した。サムスンは17%、ファーウェイは8%、OPPOは5%、vivoは4%、小米は3%となっている。
業界関係者は、「これまで中国の携帯メーカーは特許訴訟、部品の値上がり、供給チェーンの品不足といった問題にたびたび巻き込まれ、一部のメーカーは値上げや発売の延期を余儀なくされた。目下、状況は好転しているが、中国メーカーはなお薄利多売の苦境に立たされている。原因を考えると、主に国産メーカーが独自のコア競争力をもたないことにある。長らく携帯のチップもオペレーションシステムも、国際的な大企業に過度に依存する状態が続いている」と分析した。
IDCが発表した18年中国携帯電話市場追跡報告のデータでは、アップル製品の平均単価は870ドル(1ドルは約110.1円)、サムスンは613ドルだが、ファーウェイは373ドルにとどまる。ここ数年、ファーウェイはミドルエンド・ハイエンド市場に進出してそれなりの成功は収めたが、アップル、サムスンと比べればまだ大きな開きがある。平均価格はアップルの42.87%、サムスンの60.85%でしかない。
平均単価が低く、利益が薄いだけでなく、ファーウェイはサービス事業の収入でもアップルに及ばない。アップルのサービス事業収入は年々増加し、19年度第1四半期の決算では、アップストア、アップルペイ、iTunes、アップルミュージックを含むサービス事業の営業収入が108億7500万ドルに達し、前年同期比19%増加した。
洪さんは、「アップルにはアップストアやアップルペイからマップやナビゲーションなどに至る整ったシステムが備わり、ユーザー体験で言うと、生態システムが整えば整うほど消費者の体験は深みを増し、また利益向上にもプラスになる。ファーウェイがアップルを追い抜きたいなら、出荷量を増やすだけでなく、販売量と利益を同時に引き上げなければ、本当に追い抜くことはできない。今の状況を考えると、それにはもう少し時間がかかる」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年3月29日