まるで「目覚まし時計」のような生活 「996」勤務体制に苦しむ若者たち

人民網日本語版 2019年04月02日16:48

プログラマー業界で最近、ある大事件が発生した。ソースコードの管理・共有プラットフォームとして有名な「GitHub」上で、インターネット関連企業の「996」勤務体制を排斥する目的で、「996.ICU」という名前のプロジェクトが立ち上がったのだ。このプロジェクトに、多くのプログラマーから大きな反響があった。「996」とは、午前9時から午後9時まで週に6日間働く勤務形態を指し、「996.ICU」は、「996で働くと、病気になってICU(集中治療室)に行く羽目になる」という意味だ。中国青年報が伝えた。

インターネット関連企業では、「996」は特に珍しいことではない。「出勤するときには、日はまだ出ておらず、退勤時にはすでに日が落ちている」というライフスタイルは、彼らの日常では当たり前のことだ。

法律では、996勤務体制の合法性は極めて疑わしい。社員の通常の勤務時間に残業を盛り込むことが当たり前になり、さらにはこのような体制が言葉巧みに肯定されて、文化的・道徳的な色合いが加えられている。例えば、このような勤務体制を積極的に受け入れる社員が、仕事に前向きで開拓精神に溢れ、夢や希望を持っていると評価される一方で、積極的に受け入れない社員には、楽をすることばかり考え、その場しのぎの仕事しかしないと、非難の目を向けられる。このような状況のもと、個人がこのような体制に「NO」と言う事は、ほぼ不可能になっているのが現状だ。

「就活は一方的なものではなく双方向的なものであるから、996勤務体制を受け入れられないのならば、他業界に転職すれば済むことだ」という意見もある。しかし、このような意見は、従業員の権利保護の正当性について目を背けているだけではなく、現在の996勤務体制がすでにインターネット関連で起業する企業特有の現象ではなく、さまざまな業界にまで蔓延しているという事実も軽視している。

今回のプログラマーが集団で反旗を翻したことに対し、一体どのような反応が得られるのかは、現時点ではまだ何とも言えない。ただいずれにせよ、今回の現象は、労働監察部門に一種の啓示を与えたと言ってもよいだろう。労働者の権益保護をめぐるこれまでの議論のほとんどは、出稼ぎ労働者などの弱者層を対象としたものだったが、現実には、インターネット関連企業で働く「高大上(ハイレベル)」といわれるプログラマーたちも、労働権益保護の危機に直面している可能性が高いということを証明している。

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