外部の不確定要素が高まっているが、中国の輸出入はそのプレッシャーに耐えることができるのだろうか?第一線の企業や中国政府が発しているシグナルを見ると、中米貿易摩擦が中国経済に与える影響はコントロール可能であることが分かる。一財網が伝えた。
国内外の需要喚起でリスクヘッジ
現在の情勢に対し、中国の政府と企業はすでにその対策を講じている。
清華大学中米関係研究センターの周世倹シニア研究員は、「輸出企業の損益を左右する重要な政策である為替レートや利率、輸出税還付率は、どれも企業の利益やコスト、資金の回転率に影響する。中国は4月1日からすでに企業が納める税金を大幅に引き下げている。また、人民元の為替レートも4月30日の1ドル6.72元から、最近の1ドル6.89元になり、1ドル当たり1角7分多くなったため、企業の負担は減り、利益が増加している」との見方を示す。
企業が講じている主な対策は、内需拡大と輸出市場を多元化し、開拓することだ。
杭州維麗傑旅行用品有限公司の呂強社長によると、昨年、同社の対米輸出が輸出全体に占める割合は約10%だったのが、今年はゼロになる見込みだ。しかし、輸出の多元化戦略を実施しているため、輸出は前年比で増加しているという。
広東省順徳区の小型家電輸出分野のベテラン関係者は、「一定規模の小型家電輸出企業の多くが今主に講じている対策は、海外市場を中心にした商品のラインナップをやめて、国内の細分化された分野に的を絞って商品を開発し、国内ブランドを全面的に構築するほか、海外ブランドの中国市場進出をサポートすることだ」と説明する。
貿易の新業態は高度化のチャンス
他の貿易の新業態にとって、今回のリスクは逆に改革を全面的に実施するチャンスと言えるだろう。
阿里巴巴(アリババ)中小企業国際貿易事業部の張闊共同部長は、「長年、中国の民間企業の輸出の割合は上昇の一途をたどっているが、それら企業のデジタル化浸透率は比較的低い。そのため、私が担当している貿易総合サービスプラットフォーム事業のポテンシャルは依然として非常に大きい。現在、貿易は逆風に直面しているが、高度化推進のチャンスでもある」との見方を示す。
貿易総合サービスは、インターネット環境を活用した越境貿易サービスという新業態だ。インターネットやビッグデータなどの技術を活用して、中小企業に通関申告や検査申請、物流、税金還付、決算、信用体系などの貿易をめぐるワンストップサービスを提供する。
張氏は、「昨年以降、中国政府は、貿易総合サービスプラットフォームの定義を定めるなどのサポート政策を数々打ち出してきた。また、税金還付業務の責任主体を輸出企業に還元した。税関のプラットフォームにおける誤差率に対する要求も、絶対値管理から比率管理に調整された」としている。
しかし、新業態の面における中国政府の監督管理の方法は模索の段階だ。例えば、税金還付業務において、具体的な実施に関する細則が必要となっており、今はそれらの業務を実施する良いタイミングと言えるだろう。