しばらく前、中国の出産育児に関する専門家の喬傑氏が、「25-28歳が妊娠に備えるのにもっとも適した年齢」との見方を打ち出した。これに対して、「おお!そうなの、この年齢を過ぎたら生まなくていいのね!そうそう、2017年の江蘇省の平均初婚年齢は34.2歳で、女性は34.3歳。いっそのこと出産はやめた方がいいよね」といったコメントが上がった。
二人っ子政策が打ち出された後の17年には、人口は新たに1723万人増えたが、逆に16年より63万人少なかった。これを受けて専門家は、「法定婚姻年齢を男性満20歳、女性満18歳に引き下げるべき」と提起した。しかし若い人は専門家に同意するだろうか。上海の女性に二人っ子について意識調査を行ったところ、80後(1980年代生まれ)と90後(1990年代生まれ)の回答は実に厳しいものだった。回答者のうち、出産経験のある人は4.8%、出産したいという人は3.3%で、出産したくないが56.4%、わからないが35.4%だった。ここから大都市の女性の多くが二人の子どもを産もうと考えていないことが容易に見て取れる。婚姻率が低く、出産率が低いことは、「低欲望社会」現象の一つと考えられている。この「ダブル低率」が出現したのはなぜか。恒大研究院の任沢平氏のチームは「中国出産報告2019年」の中で、「住宅、教育、医療などに直接かかるコストが出産を思いとどまらせる3大難関だ」との見方を示した。
1つ目の難関の住宅について。04-17年に、収入に対する家賃の割合が17%から44%に増加した。出産育児の中心となる80後と90後が、ひと月数千元(1元は約14.8円)も1万元以上もする家賃の重さにあえいでいる。
2つ目の難関の教育について。97-17年に、公立幼稚園に通う子どもの割合が95%から44%に低下した。また習い事ブーム、さまざまな教室通いが激しさを増し、多くの家庭はこの面で巨額の出費をしている。
3つ目の難関の医療について。95-17年に、個人の医療保険料は22.4倍に増加し、可処分所得の9.2倍増加を大きく上回った。一人っ子のカップルは上に4人の高齢者を抱え、下に1人の子どもを育てており、どれだけプレッシャーがかかるかは言うまでもない。
さらに言えば、最終的に老後は子どもをあてに出来ないことが重要だ。
社会学の見方では、1つの観念を理解するには、その観念を決定づける「社会的事実」の中で原因を探らなければならない。しかし否定できないのは、女性の意識が覚醒したことが、現在の恋愛結婚出産市場の最大の曲がり角を招いたということだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年9月4日