骨や標本、化石、VR設備、さまざまな動物模型が並ぶこの場所は、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所(以下、「古脊椎所」)で副研究員を務める盧静さんのオフィスだ。科技日報が伝えた。
先ごろ盧さんはショート動画アプリ「Tik Tok(抖音)」にアカウント名「骨遊びをする盧先生」を登録した。彼女がアップした動画には、食べ終わった鶏肉のピリ辛煮込み鍋の鶏の骨や淡水魚の一種であるコクレンの骨を組み合わせる様子が写っており、食べながら知識を披露している。盧さんはこうした動画作成を楽しんでおり、ネットユーザーも面白いと感じているようだ。彼女のアカウントに更新された動画はまだ19本だけだが、フォロワーはすでに20万人を上回っている。
〇科学普及の仕事は責任感から
「科学者というものは皆ちょっと恥ずかしがり屋で、自分自身の研究を淡々と行うのが好き。実のところ、私も最初は、動画を撮影するのは気が進まなかった」と蘆さん。
蘆さんがアップする動画は、わずか数十秒のものだが、撮影と編集に何時間もかかるという。最初の動画を撮影した時には、食べ終わったコクレンの骨を組み合わせたのだが、夕方の5時半から夜の10時半までかかったそうだ。「ピッタリくる2本の骨がどうしても探しだせず、20回繰り返したセリフもある。その時はどうしようもなく落ち込んでしまった」と蘆さんは振り返った。
嬉しかったのは、動画を投稿後、瞬く間に、「いいね!」を10万以上受け取ったことだ。「もっと面白かったのは、ネットユーザーたちが自分の身の回りにあるさまざまな骨に関心を持ち始めたことで、私に、『これは何の骨?』と質問してくれたこと」と蘆さん。彼女は、「面白いスタイルで科学を普及させることで、科学は決してつまらないものではないどころか、非常にアメージングなものだと人々に伝えたい」と笑いながら続けた。
盧さんが科学普及にこれほど情熱を抱いているのは、責任感によるところが大きいという。「私は、科学者には科学普及を行う責任があると感じている。もし科学者がデマを目にしたら、すぐに立ち上がり、それを指摘すべきだ。人々にプラスになるものを提供しようと思ったら、それに見合うだけのエネルギーと時間を費やさなければならない」と彼女は主張する。