▽大きな環境の中の圧力
目下の日本では、困難が一つまた一つと高まりをみせる。劉氏は、「日本には低所得層が多いという特殊な状況があり、消費税率が引き上げられると、この層の人々が比較的大きな影響を受ける。安倍首相の就任から数年が経ち、経済は回復を続けたというものの、個人の手取り額は増えていない。そこに突然加わった増税の影響は推して知るべしだ。また8%への引き上げ時に比べ、10%という税率は引き上げ分が一目でわかり、負担感をはっきりと感じるものだ」と述べた。
現在、低所得層の人々の反応は安倍政権への支持率に反映されている。劉氏は、「安倍首相は就任中に消費税率を2回引き上げ、その影響は過小評価できない。理論的には消費税率引き上げは合理的であるという人は多いが、低所得層の声は聞こえてこず、低所得層の手の中には選挙権がある。つまり、安倍首相と自民党政権は枕を高くして眠ってはいられないということだ」との見方を示した。
消費税の問題はなかなか解決されない中、経済も今にも墜落しそうな状況だ。日本政府が7日に発表した8月の景気動向指数をみると、製造業の生産、雇用、小売販売を含む一致指数が前月比0.4ポイント低下した。雇用機会や消費者の信頼感といったデータに基づいて算出され、今後数ヶ月間の経済状況を見通す先行指数は同2ポイント低下した。
このようなデータを踏まえ、日本政府は基調判断を「悪化」に下方修正した。日本政府は3月と4月の傾向動向指数による基調判断を「悪化」としていた。フィッチ・レーティングスは4日に発表したコメントの中で、「日本銀行(中央銀行)は超緩和政策を維持する見込みで、経済成長率が予想を下回れば、日本がさらなる緩和措置を取る可能性も排除できない」とした。
現在、グローバル貿易摩擦がエスカレートし、対外貿易への依存度が極めて高い日本にとって、このリスクはますます軽視できなくなっている。日本の財務省が先にまとめたデータによれば、今年8月には日本の輸出が前年同期比8.2%減少し、9ヶ月連続の減少となった。同時に、第2四半期のGDP成長率は年率換算で1.3%に低下し、内需の寄与度は0.6ポイントで、速報値より0.1ポイント低かった。
またロイター通信の報道によると、中米貿易摩擦と世界的な需要の落ち込みが日本の製造業と経済全体の増加率に持続的に打撃を与えている。消費税率引き上げ初日、日銀は9月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表し、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス5と、前回6月の調査時のプラス7から2ポイント低下し、3期連続の低下になるとともに、13年6月以来の最低も更新した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年10月9日