日本で消費税率が引き上げられて1週間以上が経ち、水面のさざ波は徐々に大きく広がっている。国民の目からみると、日用品の買い物から交通、医療機関の利用など、すべての消費項目で値上がりを肌で感じるという。こうした感覚をめぐってこのほど行われた世論調査によると、安倍内閣が自ずと「標的」になり、支持率が低下を続けている。グローバル貿易摩擦と需要の低迷が日本に深い打撃を与えるこのタイミングで消費税率を引き上げたのは、日本経済にとってまさに「泣き面に蜂」であり、安倍晋三首相が起きる可能性のあるあらゆる波瀾に対処しようと大いに張り切っているのももっともだと言える。「北京商報」が伝えた。
▽経済への打撃からは逃れられない
今月4日、安倍首相は臨時国会での所信表明演説で、「下振れリスクが顕在化する場合は機動的かつ万全の対策を講じる」と強調した。ロイター通信の解説によれば、この所信表明から、今月の消費税率引き上げが経済成長を大きく低迷させた場合、日本政府が財政活性化措置を取ることがわかるという。
消費税率引き上げと経済成長の低迷は、避けられない連鎖反応のようにみえる。2014年に消費税率が5%から8%に引き上げられた時の教訓は今でもありありと思い出される。当時、消費税率が引き上げられ、国民の消費支出は同年第2四半期、第3四半期と落ち込み続け、同年の個人消費は前年比2.6%減少し、個人消費を13年10-12月の水準に回復するまで、日本政府はまるまる4年の月日を要した。注目されるのは、日本の国内総生産(GDP)では個人消費が50%以上を占めることだ。
消費税率の引き上げ前、日本では買いだめラッシュが起きた。税率が低いときにたくさん買っておくというものだが、これにより引き上げ後の消費が大きな打撃を受けることになる。さきに日本の民間シンクタンクが予想したところでは、個人消費は19年は約4千億円増えるが、20年は約1兆1千億円減るという。別の調査では、消費税率引き上げ後、日本の共働き世帯の一ヶ月の可処分所得が約9千円以上下がり、これはどの階層の日本国民にとっても、生活の負担がそれぞれ増加することを意味する。特に高齢世帯と貧困世帯の暮らしの負担がかなり大きくなるという。
日本の財務省のまとめた統計では、消費税率が10%に引き上げられ、日本政府は毎年5兆6千億円の財政収入を得るという。その一部は国債の償還に充てられ、一部は社会保障システムの充実に充てられ、教育無償化にも一部が充てられる。しかし中国現代国際関係研究院の劉軍紅研究員は、「幼児教育・保育の無償化と社会保障は2つの異なる概念であり、消費税の全額を社会保障に利用しないなら、消費税の意義がすでに変質してしまっている。実際には、財政収入の足りない部分を消費税でまかなうということで、特定の使途のための資金を特定の使途に使用しないことになる。また安倍政権になって法人税がかなり引き下げられ、社会の不公平感がここに表れている」と分析した。