山東海陽原子力発電所の全景。写真は国家電投が提供。
かつて中国北方地域の暖房方法は石炭が中心で、安定せず汚染も深刻だった。今や山東省煙台市海陽原子力発電所の暖房プロジェクトの商用化成功により、原子力というクリーンな暖房供給方法が次第に各家庭に入っていくことになった。人民日報海外版が伝えた。
原子力暖房とは何か、安全性と経済性はどうだろうか。筆者はこのほど海陽を訪れ、原子炉制御センター及び一般住民への取材を行った。
国家電力投資集団有限公司山東海陽原子力暖房プロジェクト1期第1段階が11月5日、正式に稼働開始した。カバー面積は70万平方メートルにのぼる。山東核電有限公司の社員寮と周辺の約30の団地で、石炭暖房から正式に原子力暖房に変わった。
原子力暖房とは?
山東核電の関係スタッフによると、原子力暖房は主に原子炉2ループから得られる蒸気を熱源とする。発電所内の熱交換ステーション、発電所外の暖房企業の熱交換ステーションで熱交換を重ね、最終的に市政暖房パイプネットワークにより各家庭に熱を届ける。「各家庭に届けられる温水には何ら変化がなく、変わるのは熱源だけだ」
原子力暖房は安全か?
職員によると、原子力の暖房の全過程は、蒸気加熱と温水加熱という2つのサイクルのみだ。また原子炉と利用者の間に複数のループを設置し隔離し、各ループ間では熱が伝達されるだけだ。利用者の暖房パイプ内の温水も団地内で閉ループし、原発との間に何層もの隔たりがあるため非常に安全だ。
ボイラーをなぜ原子力に変えるのか?
豊源熱力公司の趙新会長は「原子力暖房と伝統的な火力発電暖房の最大の違いは、クリーンな点だ。1期の70万平方メートルは65トン級の石炭燃焼ボイラーの代替を果たす。二酸化硫黄、粉塵、二酸化炭素などの排出量を大幅に削減し、排出削減効果が非常に顕著だ」と述べた。
推算によると、海陽で今回実施される70万平方メートル原子力暖房により、1年で標準石炭使用量を2万3200トン、粉塵の排出量を222トン、二酸化硫黄を382トン、窒素酸化物を362トン、二酸化炭素を6万トン削減できる。省エネ・排出削減、環境改善の効果が顕著だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年12月11日