日本のドラマの秋クールは10月から年末まで続く。2019年の秋クールでは、木村拓哉主演のTBS日曜9時放送ドラマ枠(「日9」と略称される)の「グランメゾン東京」が注目のドラマとなった。同ドラマは、フランス料理の天才シェフである尾花夏樹が、職場で起きたある事件をきっかけに人生のどん底に沈んだが、「絶対味覚」を持つ女性シェフの早間倫子と出会った後、そのミシュランの星獲得へのこだわりに感化され、再び闘志を燃やしていく様を描いている。ストーリーは主に、この2人が新旧の仲間たちと協力してレストラン「グランメゾン東京」を開業し、ミシュランの三ツ星獲得を目標に奮闘していく物語をめぐって展開される。豪華なキャストと、志を立てて努力していくストーリー設定、手の込んだフランス料理は、ますますうるさくなる日本ドラマファンの感覚を満足させ、ここ数年あまり盛り上がっていなかったグルメドラマをしっかりと「燃え上がらせ」た。文匯報が伝えた。
キャラクターをはっきりと浮かび上がらせた演技派の中年俳優陣
グルメは日本のドラマがよく取り扱うテーマだ。「グランメゾン東京」のほかにも、2019年に放送された「孤独のグルメ」第8シーズンや「深夜食堂」第5シーズン、「Heaven? ご苦楽レストラン」や「きのう何食べた?」はいずれもグルメドラマの範疇に入り、レストラン経営から家庭料理まで、西洋料理のフルコースから日本料理まで、達人シェフからグルメの美食家まで、さまざまなタイプのドラマが揃った。「グランメゾン東京」が放送されたのは、社会人をターゲット層とした「日9」枠だ。同ドラマのテーマや人物、ストーリー設定は、「日9」枠のターゲット層のポジショニングにうまくはまっていた。高級フレンチレストランを舞台にして、料理のエリート集団をメインキャストに据え、ミシュランの格付け評価を背景としたストーリー設定により、作品に「物珍しさ」を生む仕掛けが施された。また、同作品は高い制作費と大規模な制作という保障を得て、主要制作スタッフや視聴覚効果、内容の専門性においても最高のものを追求することができた。
「グランメゾン東京」はTBSのゴールデンタイムの主力ドラマであり、毎回1億円以上の投資と多くの有名な演出家や俳優の加入により、同ドラマの高い視聴率と高い評判が実現した。演出家チームには、「アンナチュラル」の演出を手掛けた塚原あゆ子や、「花より男子」を演出した山室大輔、「インハンド」を演出した青山貴洋が参加している。俳優の面では、日本ドラマの「ゴッド」的存在の木村拓哉のほかにも、メインキャストに鈴木京香や沢村一樹、及川光博、尾上菊之助など視聴者におなじみのメンバーが揃った。「グランメゾン東京」のキャストには、演技派の中年俳優が名を連ねており、美少年が大手を振っている現在の日本ドラマ界では独自の道を行ったと言っていいだろう。