■欧州統合は断片化 団結力は跡形もなく
「Westlessness」というテーマは、国際情勢の大きな変動における欧州の焦慮と不安を深く反映している。マクロン大統領は「Westlessness」というテーマについて、西側が弱体化しつつあることを紛れもなく物語っていると指摘した。
過去10年間に欧州統合はかつてない挫折を味わった。団結力に疑問の声が上がり続け、遠心力が激化して、今や欧州はばらばらの砂のようになった。
馮氏は「現在の欧州にとって内部の分裂勢力の高まりは重大な試練だ」と指摘。「ブレグジット(英国のEU離脱)はまだ他の加盟国にドミノ効果を生んでいないが、欧州のポピュリズム及び民族主義勢力を助長させ、欧州統合の発展にとって重大な牽制となったことは間違いない。また、例えばポーランドやチェコなどの国が『ゼロ移民』政策を堅持したことで、東欧・西欧間の矛盾が激化した」と指摘した。
中国社会科学院学部委員、国際学部副主任の周弘氏は「欧州統合は依然、内部の経済・社会要因及び制度的要因のもたらす多大な試練を受けている」と指摘。「欧州内部の募る緩慢さ、社会的分断、政党の断片化、曖昧な政治綱領、理性主義の伝統の衰退、及び民衆からかけ離れたEUの制度設計などの要因によって、ポピュリズム勢力は引き続き強化され、EU政治の伝統的な『左』と『右』の分断は次第に『EU支持』と『反EU』の分断へと変わるだろう」とした。
幸いな事に、西側陣営が内外の衝突と対立に直面する中、団結を呼びかけ、世界のパワー構造の変化を受け入れる声もすでに上がっている。マクロン大統領は会議で、一致団結して足取りを速め、未来へ着眼するよう欧州に呼び掛けた。「ミュンヘン安全保障報告2020」は、西側各国は世界のパワー構造の変化という結果を受け入れ、これと共存しなければならないとの認識を示した。
「Westlessness」という問題を解決するには、会議で言い争い続けるよりも、心の有り様と視点を根本から変えたほうが良い。まさに王毅外交部長(外相)がミュンヘン安全保障会議での演説で述べたように「我々は東側と西側という区分から抜け出し、南側と北側の違いを乗り越え、我々の生存がかかっているこの惑星を真に一つの生命共同体と見なす必要がある。イデオロギーの溝を越えて、歴史的・文化的違いを包摂し、国際社会を真に世界の大家族と見なす必要がある」のである。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年2月18日