自信から焦慮へ 西側は一体何が「消えた」のか

人民網日本語版 2020年02月18日13:12

第56回ミュンヘン安全保障会議はテーマを「Westlessness(消える西側)」と定めた。西側の影響力の衰退とそのもたらす結果を議論する狙いがある。主催側によると、「Westlessness」とは広く感じられている不安を指しており、この不安は「西側」の恒久的目標の不確定性と「西側」共通の立場の喪失に由来する。

「Westlessness」は西側が外部環境の変化によって世界の問題を主導する影響力を喪失したこと、及び欧州内部の分断勢力の高まりによって団結を喪失したことに端を発するとアナリストは指摘する。西側内部の主要な矛盾は米国の現政権が遂行する「米国第一」戦略にあり、これが米欧関係を事実上決裂の瀬戸際にまで追いやっている。

■亀裂の深まる米国と欧州 影響力は過去に到底及ばず

米国と欧州の溝が再び露呈した。フランスの戦略核抑止力について欧州のパートナー国と戦略対話を行いたいとのマクロン仏大統領の発言を記者が持ち出すと、NATO事務総長は「欧州にはすでに核抑止力がある。NATOの核戦力だ」と直ちに反論した。ジョセップ・ボレルEU外務・安全保障政策上級代表は会議で、トランプ米大統領の「米国第一」政策はすでにEU自身の利益と相反していると述べた。ポンペオ米国務長官が会議で「大西洋をまたぐ同盟が死んだというのは全くの誇張であり、西側は近く勝利する」と語ると、マクロン大統領は「欧州は未来に対して自信のない大陸に変わりつつある」「欧州は米国の二次的パートナーであることを止めるべきだ」と直ちに応じた。

片や「西側は勝利する」と言い、片や「Westlessness」を議題にする。これは「米国第一」政策によって日増しに深まる米欧間の矛盾を反映している。米国は同盟国関係において、度々欧州の利益を軽視して落胆させてきた。気候変動に関するパリ協定、イラン核合意、中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱。国連教育科学文化機関(ユネスコ)と国連人権理事会からの脱退。NATO同盟国の軍事費分担の大幅に引き上げ。ドイツのシュタインマイヤー大統領は今回の会議で、「米国を再び偉大な国にする」というのは「最も親密な同盟国の利益を代わりに犠牲にするものだ」と指摘した。

中国現代国際関係研究院の馮仲平副院長は人民網の取材に「トランプ氏が就任後推し進め続けている『米国第一』政策によって、大西洋両岸の溝と矛盾は日増しに増大し、戦略面の相互信頼は著しく低下し、欧州は自分たちの安全保障への米国のコミットメントに疑念を抱き始めている」と指摘した。

「西側内部の主要な矛盾は米国の現政権が推し進める『米国第一』戦略にある」。ボン大学グローバル研究センター長の辜学武氏は「この戦略は米欧関係を事実上決裂の瀬戸際にまで追いやっている。米欧は世界の問題を主導する影響力を失っている」と指摘した。

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