写真は新華社より
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は今週初めに、「開催が1年延期された東京五輪は2021年に開催できなければ、中止になるだろう」と初めて中止に言及した。その背後にある、延期がもたらした困難な「経済的問題」が、避けることのできない重要な要因になっていることは間違いない。新華社が伝えた。
今年4月下旬、IOCと東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は延期による追加負担の問題で見解に食い違いが生じた。IOCの最新の声明では、東京五輪延期を含む新型コロナウイルス感染症の影響への対応で最高8億ドル(1ドルは約107.8円)を計上するとし、東京五輪組織委はコストを試算中とした。
IOCが4月20日に公式サイトで先手を打って情報を流したのも、5月14日に最高8億ドルを支援するとしたのも、自分たちが引き受ける負担額を早めに確定するための非常に積極的な動きだといえる。その一方で、日本側の動きは遅く、追加負担がいくらになるかもまだ公表していない。
東京五輪組織委の森喜朗会長は4月に、「今はまだ追加負担がどれくらいになるか確定できない。4千億円という人もいれば、5千億円という人もいて、現在、組織委とIOCもいろいろな憶測に翻弄されているところだ。実際、各方面がしっかり腰を据えて追加でいくら必要なのか細かく計算する必要がある」と述べた。
IOCのラナ・ハダド最高執行責任者(COO)は、「感染症と東京五輪延期の影響により、ワールドワイドオリンピックパートナーのスポンサー料を納める期間が延長される可能性がある。しかし、このことはまだIOCにそれほど大きな影響を与えておらず、スポンサー企業は今でも『全力で応援』してくれている」と述べた。
2018年平昌五輪から20年東京五輪までの期間のワールドワイドオリンピックパートナーは14社に上る。報道によれば、この期間に20億ドル以上の収益をIOCにもたらすはずだという。
感染症の影響で、ワールドワイドオリンピックパートナーの中には経営が厳しくなるところも出てきた。たとえば最近新たに契約を結んだ民泊サービスのエアビーアンドビーは5月初め、「感染症により世界で観光客数が急激に減少したため、社員の約25%をリストラする」と発表した。日本のトヨタ自動車は20年度の営業利益は79.5%減と大幅に減少すると予想する。
しかし影響を受けていないワールドワイドオリンピックパートナーもいて、たとえば阿里巴巴(アリババ)集団は今月初めに、20年度通年と第4四半期の業績は全面的に予想を上回るだろうと発表した。米消費財大手のP&Gは先月、製品の純売上高が最近になって急上昇していることを明らかにした。
英スポーツマーケティング企業のツー・サークルズの最新予測によれば、感染症の影響で、今年の世界のスポーツへのスポンサー料は前年に比べて170億ドル以上減少し、前年同期比37%減少するという。
この予測はさらに、「感染症により新たなスポンサー契約の多くが一時的にストップし、既存の契約の多くも企業のコストカットで終了することになる」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年5月26日