76日間に及ぶ都市封鎖という試練を経て、武漢の人々は「ハイな気分」を楽しむことができるようになった。武漢市民は地元のウォーターパークに押し寄せ、プールで涼を取りつつ、賑やかな音楽が鳴り響く中でプールパーティーイベントを楽しんだ。西側の4大通信社の1つであるフランス通信社(AFP)が「武漢ウェーブ」と題してこの様子を伝えると、英国紙「ガーディアン」、米ケーブルテレビ局CNNなど西側主流メディアが次々に転載した。
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「武漢ウイルス」から「武漢ウェーブ」へ(AFP社のツイッターのスクリーンショット)
武漢の人々がプールで音楽とパフォーマンスを楽しむ様子(AFPの動画より)
AFPは、「武漢市の76日間に及ぶ都市封鎖の後、このウォーターパークは6月に再開された。現地メディアによると、入場者数は通常の定員の50%に制限され、女性の入場料を半額にするサービスもあるという」と伝えた。
これは西側のネットユーザーの多くが武漢に抱くイメージとは異なっている。
昨年末、新型コロナウイルス感染症が武漢で最も早く出現すると、米国のトランプ大統領とポンペオ国務長官は「武漢ウイルス」や「中国ウイルス」という表現を何度も繰り返して、自国内の矛盾への批判の矛先を中国に向けようとし、外国人の中には武漢と中国に対する恨みや憎しみの感情をかき立てられた人もいた。さらに5月には、日本の麻生太郎副首相(財務大臣)まで「武漢ウイルス」と発言した。中国が武漢市に対して取った思い切った都市封鎖措置は、多くの西側メディアから「政府による残酷な手段」と非難された。
ウイルスが猛威を振るった「封鎖された恐怖の都市」で、どうやって水上イベントを行うというのか。そんなことはどうしても信じられないという人もいる。
「この動画は本物?最近の動画?(感染症の前?後?)音楽と動きが合ってないみたいだけど。後から音を重ねたんじゃないの?このイベントはすごく変。だってワクチンはまだないんだから」。ニュースが伝わると、すぐに海外のネットユーザーから疑問の声が上がった。コメント欄は諸説紛々として、2019年の古い動画だと言う人もいれば、18年の動画だと言う人もいた。
会場となった武漢瑪雅海灘水公園のカスタマーサービスに電話で確認してみると、今年も例年通り、「水上音楽祭」というイベントを開催しており、イベント期間は8月末まで続くということだった。
「ガーディアン」は、「数年前の情景のようにみえる」としつつ、「この週末には確かに数千人が武漢のウォーターパークを訪れている」と伝えた。新華社も今月15日、「最近、武漢市では気温の高い日が続き、感染症対策をしっかりした上で、大勢の市民が市内にあるウォーターパークを訪れ、水遊びをして暑さを解消した」と伝えた。
ネットユーザーの中には、感染症の責任は武漢市にあるという人もおり、コメント欄で「悪意と中傷」をまき散らしている。
「一体どういうつもり?世界中を苦しませているのに、君たちは今はもう生活を楽しんでいるというのか……」とコメントした人がいるかと思えば、中には「武漢陰謀論」を信じてしまっている人もいる。
こうした状況について、「西側の人々はこういった全く根拠のない陰謀論を信じたがり、中国が何かを適切に成し遂げたと認めるのはいやなのだ」とズバリ言い当てた人もいる。
中国人があんな風に楽しんでいる時、自分たちの国はなお苦しみの中にあるのを見て、ネットユーザーの中には自国の現状を批判する人もいれば、自国の感染症対策の失敗を振り返る人もいる。
米国ニューヨークの人と思われるユーザーは、「武漢では音楽祭が開かれているが、ニューヨークはスポーツジムさえ閉まっている」とコメントした。これに対しあるネットユーザーは、「じゃあ武漢に引っ越せば?」と嫌味を込めたコメントを返した。
また別のユーザーは、「よその国がイベントを開くのに、あなたの国を待つ必要がある?この人たち(武漢の人たち)は楽しむ資格がある。他の国の人も普通の暮らしが戻ったら、イベントに行けばいい。断言する。よその国の感染症が収束するまで待ってからイベントをする国なんてない。よその国のせいにしないで、権力がありながら何もしなかった自分たちの国の人を責めるべきだ!」と正論を述べている。
「感染症を理由に武漢を責めるのはよくない。米国は自分たちの失敗の責任を自分たちで取るべきだ」というコメントもあった。
また、「武漢の人たちは76日間封鎖された。これまで見た中で最も厳格な措置だ。彼らは非常に大きな苦しみを経験して、今やっと外に出られるようになった。ようやく手に入れた勝利をお祝いする資格が完全にあるといえる。(感染症は)彼らの過ちではないし、武漢の人たちのことをとやかく言う必要はない」というコメントも見られた。
米放送局MSNBCのジャーナリストのクリス・ヘイズ氏は、「武漢で押すな押すなのロック祭りをやっている時に、私たちはZoomでオンライン会議を開いている」と自嘲気味のツイートを発信した。
ロシア・トゥデイ(RT)のマリク記者はコメントの中で、「この情景は、全力を尽くしても感染症を抑制できなかった国々にとって、さながら『残酷な笑い話』だ」と記している。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年8月20日