中国では石炭は主に鉄道で輸送されている。石炭車は100両以上の編成であるため、車両の長さが数キロに及ぶこともある。そして数万トンもの石炭が積載されているが、その取り卸しはどのようにしているのだろうか?新華社が報じた。
下の画像がカーダンパーと呼ばれる設備で、その作業シーンを見たことがあるという人はあまりいないだろう。
車体ごと傾けて石炭を取り卸すカーダンパーの作業は、迫力満点だ。
ネットユーザーからは、「作業員がスコップを使って取り卸しているのだと、ずっと思っていた」や「SF映画のシーンかと思った」、「石炭は心の準備をする暇もない」などの声が寄せられている。
カーダンパーとは?
カーダンパーは、炭車や鉱車などを車体ごと傾けたり倒立させたりして、積荷を落下させて取り卸す大型機械設備だ。
中国鉄路済南局集団有限公司の済南西車両拠点の作業場では、1日に800車両以上に積まれた石炭約6万トンの取り卸し作業が行われている。同作業場で使われているカーダンパーは、20秒ごとに、80トンを積載したC80型車両4両の取り卸しを行うことができ、 作業効率が非常に高く、石炭車のスピーディーな運行を実現している。
車両を傾けて石炭が落下するまでの過程
専用の機械で車両をカーダンパー前まで牽引し、クレードルで位置を定めると、連結器が自動的に切り離され、車両はカーダンパーの「懐」にしっかりと収まる。
その後、カーダンパーが起動すると、車両が回転し、165度傾くと、減速制動し、バイブレータで3秒振動して、石炭が全て落下したことが確認されると、元の状態に戻る。取り卸しが終わると、空になった車両は前へ進み、石炭を積んだ車両がまた入って来て、同じプロセスが繰り返される。
その過程は簡単に見えるかもしれないが、実際にはたくさんの設備やシステムを高い精度で協調させなければならない。また、数百トンの車両は、取り卸しが終わった後、そのまま作業場を出ていくのではなく、鉄道技術者が重要な部分をしっかりと検査し、リスクとなる要素を排除し、列車の安全な運行を確保しなければならない。
環境保護対策もバッチリ!
車両を傾けて石炭を落下させると、大量の粉塵も発生するため、カーダンパー作業では防塵対策が重要となる。
カーダンパーに搭載されている負圧除塵システムは、状況に応じて、噴水したり、ミストを発生させたりして除塵を行い、作業場の粉塵を安全基準内にコントロールし、二次汚染が発生しないようにしている。
自動化された生産工場内は清潔な環境が保たれ、作業員らの的確な操作の下、設備が秩序良く作業を行っている。そして、粉塵が舞うといった状況は見られない。
今年1‐9月期、中国の鉄道貨物運送は安定した成長を見せ、史上最も高い水準に達した。鉄道運輸が安全、かつスムーズに運営されている背後では、大勢の人が知恵を絞り、汗水を流しているのだ。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年11月2日